大型浅吃水船舶の開発

• 研究課題/領域番号: 05045028
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 大学協力
• 研究機関: 横浜国立大学
• 研究代表者: 井上 義行 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60126373)
• 研究分担者: 顧 敏童 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 肖 煕 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 譚 家華 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 張 聖伸 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 盛 振邦 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 王 国強 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 劉 応中 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 平山 次清 横浜国立大学, 工学部, 教授 (00018061) ; 鈴木 和夫 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80111699) ; 池畑 光尚 (池畑 光向) 横浜国立大学, 工学部, 教授 (10114969) ; 多部田 茂 横浜国立大学, 工学部, 講師 (40262406) ; 荒井 誠 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (00232025) ; TAN Jia hua Shanghai Tiao Tong University Professor ; ZHANG Shengkun Shanghai Tiao Tong University Professor ; SHENG Zhen bang Shanghai Tiao Tong University Professor ; WANG Guo qiang Shanghai Tiao Tong University Professor ; LIU Ying zhong Shanghai Tiao Tong University Professor ; GU Min tong Shanghai Tiao Tong University Professor ; 秦 士元 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 陸 〓森 上海交通大学, 船舶及海洋工程系, 教授 ; 角 洋一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (80107367)
• 研究期間 (年度): 1993 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円); 1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
• キーワード: 河川用船舶 / 大型船 / 浅吃水船

研究概要

1、まえがき
中国大陸では重要な交通、貨物輸送の手段として河川を航行する船舶が多数用いられている。これらの船舶は航路の制約から、一般に幅広浅吃水となるために抵抗推進や操縦性能が悪い。また、縦強度を大きく取れないため、造船所から稼働する河川への移動時に外洋を航行すると損傷事故を生ずる危険性が高い。本研究では抵抗推進性能と操縦性能に優れた大型浅吃水船を開発するために日中共同の研究開発を行なった。
2、派遣及び招聘状況
本年度は「大型浅吃水船舶の開発」の最終年度であるので、日中両国の浅吃水船舶に係わる研究成果の交換と研究のとりまとめ等のため、日本側研究者4名を上海交通大学に派遣し、浅喫水船舶の操縦性能、耐航性能、及び船舶設計について中国の研究状況を調査した。この派遣による調査では、上海交通大学船舶海洋工程系の研究施設の見学や、同大学の紹介で無錫にある中国船舶研究中心も見学し、大型浅吃水船舶の開発に関して関係者と討論し、研究状況を調査した。また、日中両国で協力して実施した河川用大型船舶の概略設計についての上海交通大学船舶海洋工程系の研究者と意見交換を行なった。
さらに、中国側の研究者2名の招聘を行ない、日本国内における浅喫水船舶に関する水槽実験技術を調査学習することを主な目的とし、東京大学工学部をはじめ、運輸省船舶技術研究所、石川島播磨重工技術研究所、住友重機械工業技術研究所、三井造船昭島技術研究所等を訪問し、関係者と討論した。これらの訪問調査により、大型浅吃水船舶の開発に係わる水槽実験技術のみならづ、船舶海洋工学全般に係わる日中両国の最近の情報交換もできた。
3、大型浅吃水船舶の流力弾性応答解析
大型浅吃水船舶は深さに比べて幅広となるので、相対的に剛性の小さい浮体となる。極端な例として、深さが幅の1/100以下の浮体について波浪中における構造変形も考慮した応答解析を領域分割法を用いて行った。
この解析においては、まず、剛体としての解析を従来通りの波浪中動揺解析法で行い、次に、浮体の変形を考慮するために浮体の下面を再分割した流体領域を設定し、それぞれの流体領域での接続条件から速度ポテンシャルを求め、流力弾性問題としての応答解析を行った。前者の解析においては、計算精度を維持するために固有関数の級数項を多くするなどの改良を行い、後者については、それに加えて、更に多くの境界条件を満たすための制約条件式が多くなるなどのために計算精度の維持が困難であること等が分かった。
2種類の解析法の数値計算結果から、このような超浅吃水船舶の場合には、通常の船舶に対して従来行われていたような、剛体としての波浪中動揺の応答よりも、弾性体としての構造応答の方が大きくなることなどが分かった。しかし同時に、本研究で主な対象としている船舶においてはそれほど問題とはならないことも示された。また、浅吃水船の流力弾性応答計算においては、深さ方向の近似を行う平面上での圧力分布法や厳密な3次元解析を今後進める必要がある。
4、大型浅吃水船舶の抵抗推進、操縦性能
大型浅吃水船舶は深さに比べて幅広となるので、操縦性能上や吃水制限から一般的には2軸船が適しており、上海交通大学等における2軸船に関する水槽実験結果等を参考にして、船型の線図のあり方を研究した。2軸船は推進器まわりの形状が、船体抵抗や自航要素に大きく影響し、推進性能を左右するとともに、操縦性能にも影響するので、それらを十分勘案して定める必要がある。
推進器まわりの伴流を少なくし、なおかつ操縦安定性を増すために、船体中央部のかットアップは少なくし、両舷に向かってカットを大きくして、推進器部への流入をスムースにする船尾形状が抵抗推進、操縦性能上良いことなどが分かった。
本研究によって抵抗推進性能と操縦性能に優れた大型浅吃水船を日中共同で研究開発できた。

研究成果

• [文献書誌] Y.Inoue: "Dynamic Behaviors of Floating Airport and its Effects on Ocean Current" Proc.Int.Offshore & Polar Engg.Conf.3. 406-413 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 井上義行: "浮体式空港の設計と環境外力の推定に関する検討" 日本造船学会論文集. 179. 75-81 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Y.INOUE: "Dynamic Behaviors of Floating Airport and its Effects on Ocean Current" Proc.Int.Offshore and Polrr Engg.Conf.3. 406-413 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Y.INOUE: "Feasibility Design of a Floating Airpot and Investigation into its Effects on the Environment" J.of the Society of Naval Architects of Japan. 179. 75-81 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] 井上義行、多部田 茂 他: "浮体空港の設計と環境影響に関する検討(海水流動等の変化に関する検討)" 日本造船学会論文集. 176. 75-81 (1994)
• [文献書誌] M.Arai,L.Y.Cheng & Y.Inoue: "A Computing Method for the Analysis of Water Impact of Arbitrary Shaped Bodies" 日本造船学会論文集. 176. 233-240 (1994)