研究概要 |
本研究では、親魚養成,卵質改善,仔稚魚の消化・吸収,仔稚魚の栄養要求,微粒子飼料,生物餌料の栄養価および栄養強化など健苗育成技術開発に取り組み、正常な仔稚魚を大量に生産する実用化の知見がえられた。その主なものを列記する。 1.キジハタ仔稚魚用微粒子飼料のタンパク質源としては、イカミール,フィシュミールおよびカゼインなどを混合した方が、良好な成長・生残を示した。 2.マダイ胚発生過程におけるエネルギー源としては、ふ化前は主として遊離アミノ酸が、ふ化後は主として脂肪酸が利用されることを明らかにした。 3.シマアジ稚魚に対するアスコルビン酸-2-リンMgの効果は、無添加区において脊椎側弯症がみられ、要求量は3mg/100gと推定される。 4.クルマエビの卵巣成熟に対して、親エビ飼料中に、ビタミンA,α-トコフェロールおよびビタミンCが必要であることを証明した。 5.ヒラメ種苗生産に出現する白化固体は、ふ化後10-20日令に、ビタミンA,DHAおよびフォスファチジルコリンを強化した飼料により防止できる機構を解明した。 6.マダイにおける食餌性EPAとDHAは摂餌後、体内でEPAとDHAの行動には大きな差違が観察され、脳および網膜のリン脂質画分では、DHAのみ大量に蓄積されることが証明された。 7.マダラ仔魚に対DHA強化ワムシの栄養価を調べた結果、ワムシ中のDHA含量は1%前後が望ましいことがわかった。 8.ビタミンAおよびβ-カロチンで強化したアルテミアをヒラメ仔稚魚に与え、体色・形態異常を調べた。ビタミンAを10万IU/10l強化したアルテミアは成長が低下し、椎体異常も多かったが、白化固体出現率は低かった。
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