研究概要 |
本研究では,人間とロボットの協調動作に関して,人間同士の場合と同様な滑らかな手渡し動作を,人間とロボットとの間で実現すること,並びに,人間とロボットが同時に物体を把持してそれを滑らかに移動する動作を実現することを目的とし,以下に示す5つの項目に分けて本研究を進めた. 1.人間とロボットの手渡し動作において,人間同士の動作解析から手にかかる鉛直方向力に従って把持力の制御が行われており,当アルゴリズムを組み込んだ一自由度ロボットハンドを用いて,人間との手渡し動作実験を行った結果,人間同士と同様な特性を示すことが確認された.さらに,手渡す前の物体の操り動作を心理的に解析し,運動計画法を検討した. 2.人間とロボットの協調運搬動作において,人間同士の動作解析から,相手が動き始める前までは高いインピーダンス特性,動き始めると抵抗のないインピーダンス特性となる可変インピーダンスモデルによる制御法を提案し,ロボットと人間との実験によりその有効性を検証した. 3.人間の自然な動作を解析するための無拘束動作計測システムをカルマンフィルタにより構築し,1/30秒先の人間の動きを予測することができることを確認した. 4.人間と協調するロボットの動作計画に対して,人間の動作解析の他に,直接ロボットを人間が操縦する方法を提案し,操作器の特性と人間の制御特性の関係について明らかにした.さらに,実時間で軌道を修正する繰り返し修正法を提案し,人間の練習時間を短縮することが可能であることを示した. 5.協調動作中のロボットの動作を評価するため,聞き取り調査以外に筋電位及び皮膚電気反射を用いた手法を提案し,動作中の人間の心理を客観的に評価できることを示した. 以上,本研究は人間とロボットの協調動作を実現するための手法の基本的な枠組みを構築した.これらの手法の総合による総合的な評価が今後の課題となるであろう.
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