研究概要 |
前年度に引続き,土壌(豊浦砂)密度,土層厚,接地荷重,すべり率等を一連に変化させて走行性試験を実施し,実測データの蓄積に努めた。特に、透明アクリル製の土槽側壁に設置したクロス印字マ-カ(約300枚)の移動により土の変位を測定し,けん引力発生のメカニズム,土壌踏圧のメカニズム等の解明のためのせん断変形,体積ひずみの分布およびこれらの車輪走行に伴う推移を明らかにした。また、前年度に作成した有限要素プログラムにより,車輪走行現象の弾塑性有限要素解析を行い,これらの実測結果の論理的根拠を究明するとともに,その論理的予測法を示した。なお,解析結果の妥当性をマ-カの移動により実測された土の変位により解析結果の妥当性の照査を行った結果,車輪回転角が余り大きくない範囲においては,十分,よい一致がみられた. 特に,上部軟弱層の密度が高く,かつ,すべり率が大きい場合,その土層厚の減少に伴い,けん引力は漸増して極大値に達した後,一旦減少して極小値を示してから土層厚0における最大値に達し,不完全気体に対するファン・デル・ワールス状態方程式で表される体積と圧力の関係に類似の傾向を示すことが確認された.一方,上部軟弱層の密度が低い場合,あるいは,すべり率が小さい場合には,土層厚の減少に伴い,けん引力は単調に漸増し,理想気体のボイルの法則に類似の傾向を示すことが把握された.
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