研究概要 |
我々が考案した変形ファブリ・ペロ-(FP)変調器は,光位相変調器をFP干渉形に挿入したFP変調器の入射ミラーを入射光周波数を透過するFP干渉形に置き換えたものであり,変形FP変調器は連続光からピコ秒およびフェムト秒領域の超短光パルス列を効率よく生成することができるものである.これは,あらゆるレーザに適用できるほか,超広帯域の光サイドバンド生成が可能であり,実用性が非常に高いと考えられる.本研究は,変調器の試作を通じてその動作特性を評価し,実用性の向上を計ることを目的として行った. 理論的検討の結果,従来のFP変調器の高速性を損なうことなく,出力光強度を数十倍から百倍程度まで大きくできることがわかった.そこで変形FP変調器の試作を次のように行った.まず,内部に挿入する高周波光位相変調器の研究を進め,電気光学結晶の分極反転を利用した疑似速度整合を達成することによって,16GHzにおいて変調能率が1.6rad/√<W>という高能率光位相変調器の開発に成功した.次に,光共振器に挿入するための低損失バルク形光位相変調器を試作し,これを用いて6GHzでの動作確認実験を行った.その結果,試作変形FP変調器において理論的に予測される数ピコ秒の光パルスを発生が確認でき,従来のFP変調器と同程度のパルス幅,スペクトル広がりでありながら,出力光強度が15倍以上にも増大できることが実験により確認された.さらに,光共振器の安定化系の試作と実験を行った結果,現在の技術によって十分な安定化が可能であることが確認できた. 本研究により,変形FP変調器が高効率フェムト秒光パルス発生器,数十テラヘルツ超広帯域光サイドバンド生成器としてきわめて実用性が高いことが示された,今回は試作には至らなかったが,モノリシック化,集積化によってさらに高性能化が期待される.
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