研究概要 |
1.平成5年度では,次の結果を得ている.室温〜350°Cでは,ショットピーニングによって,疲労強度は約18%〜7%増加するけれども,450°Cでは,かえって,45%も減少鵜する.また,試験片表面に人工欠陥として,直径および負荷さがいずれも0.1mmのドリル穴を付したとき,このような小さな表面欠陥によっても,室温から450°Cの疲労強度が24%〜47%と大きく減少する. 平成6年度では,450°Cにおける疲労強度の低下原因を究明したところ,次の結果が得られた.ショットピーニングによって生じた粗い表面(弱化因子)が残存するけれども,このような高温繰返しの間に,圧縮残留応力(強化因子)が消滅するため,疲労強度は大きく低下する. 平成7年度は,次の結果が得られた.欠陥材にショットピーニングを施すと,室温〜350°Cでは,その疲労強度は大きく増加し,ほとんど欠陥を含まない表面研摩材の疲労強度に匹敵するほどのものとなる.この原因の一つは,ショットピーニングによって,ドリル穴がある程度押し潰されるためであり,他の原因は,圧縮残留応力の寄与のためである.450°Cでは表面研摩材と同様,に圧縮残留応力の寄与が望めないから,このような強化は起こらない. 以上から,室温から350°C付近までは,ショットピーニングによって疲労強度は増加するけれども,相対的に高い温度ほど圧縮残留応力が減少しやすいから,寄与の程度は小さくなる.なお,ドリル穴のような空洞型の欠陥に対しては,ショットピーニングによって欠陥が押し潰されるから,特にショット効果が顕著となる.
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