研究概要 |
1.6.0Kb c-met異常転写産物の分子クローニングの試み 胃癌の進展・転移に深く関与する6.0Kb c-met異常転写産物の分子クローニングを(1)胃癌細胞株KATO-IIIのcDNAライブラリー、(2)pAP3 neoベクターを用いた胃癌細胞MKN-28の高分子量cDNAライブラリー、(3)ヒト正常末梢血genomic DNAライブラリーの各種遺伝子ライブラリーを用いて試みた。いずれのライブラリーからもpmet Hプローブに陽性反応を示す数個のクローンを得ることが出来たが、6.0Kbのfull length cDNAはクローニングし得なかった。 2.RT-PCR法を用いたc-met cDNAの解析 c-met cDNAの種々の部位に対するオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRNA-PCR法による異常スプライシングの検索では、c-met cDNAの2265から2319位までの54塩基がスプライスアウトされた形のmRNAが胃癌ならびに正常胃粘膜において優位に発現されていることを明らかにした(Yokozaki,H.,et al.Oncology Reports,3,1996(in press))。しかしながら、これが、胃癌に特異的に発現される6.0Kb異常転写産物の発現を説明するものではなかった。 3.胃癌における第7番染色体対立遺伝子欠失の解析 胃癌におけるc-met癌遺伝子領域を含めた第7番染色体の対立遺伝子欠失について多数症例を用いた詳細な検討を行ったところ、第7番染色体短腕D7S95領域に対立遺伝子欠失を示す症例では有意に不良の予後を示すことが明らかとなり、この部位に胃癌の進展を抑制する新しい遺伝子の存在することが示唆された(Kuniyasu,H.,Yokozaki,H.,et al.Int.J.Cancer,59:597-600,1994)。
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