研究課題/領域番号 |
05670582
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
高橋 慶吉 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (40117148)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | インシュリン様成長因子 / コリン作動性ニューロン / IGFII受容体 / コリンアセチルトランスフェラーゼ / インターロイキン-3 / インシュリン様成長因子II |
研究概要 |
本研究は中枢神経系で高い発現が維持されるインシュリン様成長因子II(以下IGFIIと略)に焦点をあて、その生理的役割を解明する為に先ず産生細胞や標的細胞の同定、ニューロンに対する効果及び作用機序を明らかにし、さらに神経障害時におけるIGFII発現やその受容体分布の変化を検索して以下のような重要な知見を得た。また、IGFIIと類似した栄養因子活性を示すインターロイキン-3(以下IL-3と略)について脳内産生部位を調べその作用メカニズムを検討した。 1.IGFIIは中隔野コリン作動性ニューロンの分化・生存促進活性を示し、その作用はIGFII受容体を介する特異的なものであった。また、NGFやbFGF等の既知の栄養因子との間に相加的併用効果が認められ、これらの栄養因子の作用が増強されることが判明した。 2.IGFIIはアストログリア細胞で主に産生され、ニューロンでは発現が認められなかった。一方、IGFII受容体は皮質錐体細胞、中隔野、海馬、黒質及び小脳プルキニエ細胞等のニューロンにのみ認められ、特にコリン作動性ニューロンやドパミン作動性ニューロンに高い発現が検出された。この事実はIGFIIは中枢神経系では標的細胞スペクトラムの広いparacrine型増殖因子として機能していることを示唆し、従来の標的細胞由来の栄養因子とかなり異なる特徴を持つ因子であることが明らかとなった。 3.脳半球を破壊したラットでは3-5日目までにIGFIImRNAが著明に増加することが判明し、その産生は障害時に出現する反応性アストロサイトに起因すると思われる。しかし、IGFII受容体分布は破壊後5日目に皮質第3層及び第5層、海馬でわずかに減少が認められたが他の領域ではほとんど変化は見られなかった。従って、中枢神経系障害時ではIGEFIIの産生促進が修復の主な役割を担っていると考えられる。 4.IL-3は海馬ニューロンで産生されることが判明した。従って、IL-3は海馬に投射する中隔野コリン作動性ニューロン標的細胞由来栄養因子として作用していることが考えられる。
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