研究課題
特別研究員奨励費
1.ポルフィリン自己組織化集合体の形成メゾ位のフェニル基のpara-位にスルホ基を導入したポルフィリン誘導体、TSPPは塩酸溶液中においては、静電相互作用によって棒状のJ一会合体を形成することが知られている。しかしながら、塩酸溶液中においてはこのポルフィリンモノマーと会合体の間で平衡状態が存在し、選択的な会合体の形成は比較的困難であるということが報告されている。本研究において、スルホ基の代わりに疎水性の大きなアルコキシ基を導入した両親媒性のポルフィリンを合成し、塩酸水溶液中において選択的な会合体形成を行うことを目指した。ポルフィリン誘導体の塩酸溶液における各種構造・スペクトル測定から、疎水性のアルコキシ基を導入することによってTPPSよりも強固な会合体の形成が実現できることが分かった。また、適切な鎖長のアルコキシ基を導入したポルフィリンの会合体は他の系と比較して均一な構造を有していることが明らかとなった。2.ポルフィリンのLB膜の形成これまでポルフィリン誘導体のLangmuir-Blodgett(LB)膜に関する研究がなされているが、いずれの場合にも界面活性剤のような支持体が必要であり、ポルフィリンのみでの自己組織化膜は報告されていない。そこで、両親溶性のポルフィリン誘導体を合成し、液-気界面においてポルフィリンのLangmuir-Schaefer(LS)膜を形成させることにした。塩基性水溶液を液相に用いてLS膜を形成させて・-A依存性を取ったところ、強固な単分子膜構造を取っていることが示唆された。また、この単分子膜の表面反射吸収スペクトルの表面圧力依存性を調べたところ、表面圧力の増加に応じてポルフィリンが高密度でパッキングされることが示唆された。また興味深いことに、圧力の増減を繰り返したところポルフィリンの傾斜角度は可逆的に変化することが明らかとなった。
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