研究課題
特別研究員奨励費
昨年度に、日本列島下における上部マントル(深さ800kmまで)の地震学的構造をレシーバ関数によって明らかにした。最も大きな成果は、太平洋スラブ上面に対応する大きな地震波速度コントラストがマントル遷移層まで検出されたことである。本年度は、この速度コントラストに着目し、その成因を明らかにした。通常、太平洋スラブ上面の速度コントラストは深さ100kmほどでなくなる。しかし、もし太平洋スラブの上のマントルウェッジ内に含水鉱物が存在すれば、スラブ上面とマントルウェッジの間に速度コントラストが生じる。現在投稿中のTonegawa et al. submitted to EPSLでは、スラブ内部およびマントルウェッジ内の含水鉱物の存在を明らかにし、スラブ上面の速度コントラストがマントル遷移層まで維持されることを示した。これらの結果は、7月にイタリアで開催されたIUGG 2007、および12月にアメリカで開催されたAGU fall meeting 2007において発表した。また、その際にかかる旅費は特別研究員奨励費の一部を使用した。また、別の手法でもこの上面付近の速度コントラストを検出したほうが説得力があるので、ScSレシーバ関数を作成することで、その検出を試みた。過去の研究で、スラブ上面で変換されたScSp波が日本各地の観測点で観測されている。本研究では、振幅の極性も考慮にいれるために、ソースをデコンボリューションすることでレシーバ関数を作成した。この操作によって、P波レシーバ関数よりも深いところまでスラブ上面の地震学的特徴を追えるようになった。これらの結果は、10月に仙台で行われた日本地震学会2007年度秋季大会で発表し、その際の旅費は特別研究員奨励費の一部を使用した。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (1件)
AGU, Eos, Trans. 88(52)
Earth and Planetary Science Letters 247
ページ: 101-107
Earth Planets Space 58
ページ: 1007-1012
10024493457
Eos. Trans, AGU Fall meet, Suppl., Abstracts 87・52
Eos.Trans, AGU Fall meet, Suppl., Abstracts 86・52