研究課題
特別研究員奨励費
サイクリックADPリボース(cADPR)結合蛋白質に対する特異的な光アフィニティープローブとして、8-アジド-3"-O-アジドエチルサイクリックADPカーボサイクリックリボース(cADPcR)を設計、合成した。しかし、この誘導体のウニ卵抽出液中におけるCa^<2+>放出活性を評価したところ、ほぼ不活性であった。この理由をcADPcRに対して2箇所置換基を導入したためと考え、8-位のアジド基を除去した3"-O-アジドエチルcADPcRを新たに設計、合成した。しかし、この誘導体もまたウニ卵抽出液中におけるCa^<2+>放出活性はEC_<50>=15μMであり、cADPcR(EC_<50>=0.079μM)と比べて著しく低下した。以上の結果から、cADPcRの3"-位に嵩高い置換基は許容されず、この位置を修飾して特異的な光アフィニティープローブを合成することは困難であることが判明した。一方、cADPcRおよびすべてのcADPcR誘導体が、Jurkat T細胞においてcADPRと比べてCa^<2+>放出活性が低下したことを踏まえて、T細胞においてcADPRと同等のCa^<2+>放出活性を示すことを期待した新たな誘導体、4",6"-不飽和cADPcRを設計した。この誘導体は、cADPcRに比べてよりcADPRに近い安定配座を取ることができ、そのためcADPRと同等の生理活性を示すと考えた。しかし、予想に反しこの誘導体のウニ卵抽出液中におけるCa^<2+>放出活性は、EC_<50>=1.9μMとcADPcRよりも低下した。そこで、溶液中の安定配座を解析したところ、おそらく二重結合を導入したことにより歪みが生じ、cADPRとは異なる配座であることが判明した。一方、T細胞においてはcADPRよりは弱いもののcADPcRを上回るCa^<2+>放出活性を示した。現在、この理由を検討中である。
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