研究課題
サイクリックADPリボース(cADPR)結合蛋白質に対する、光アフィニティープローブの創製を検討した。すでに、cADPRの安定等価体であるサイクリックADPカーボサイクリックリボース(cADPcR)誘導体の構造活性相関研究により、3"-位水酸基は修飾可能であることが判明しているが、光アフィニティープローブの創製を検討する上で修飾可能な位置は複数存在することが望ましいので、アデニン塩基部8-位の修飾を検討した。ウニ卵抽出液において最も強いCa^<2+>放出活性を示した3"-デオキシcADPcR(EC_<50>=0.014μM)の塩基部8-位修飾誘導体を種々設計、合成し、それらのCa^<2+>放出活性を評価した。その結果、クロロ基、アジド基、アミノ基で修飾した誘導体が、cADPRと比べて約2割程度のCa^<2+>放出活性を示すパーシャルアゴニストとして作用することが判明した。EC_<50>を比較すると、8-クロロ体が0.34μM、8-アジド体が0.53μM、及び8-アミノ体が0.028μMであった。一方、炭素鎖の導入を検討するために合成した8-プロピルアミノ体は、アゴニスト及びアンタゴニストのいずれの活性も有しておらず、cADPR誘導体として作用しなかった。よって、cADPRの塩基部8-位にはかさ高い置換基は許容されないことが明らかになった。以上の知見を基に、cADPR結合蛋白質に対する光アフィニティープローブとして、8-アジド-3"-O-アジドエチルcADPcRを設計した。この誘導体は、アデニン塩基部の8-位アジド基が光反応性基となるため、この部分で標的蛋白質と共有結合を形成することができる。その後、アルキルアジド基を足がかりとして、Staudinger-Bertozzi縮合反応によりビオチンなどを含むトリアリールホスフィン試薬で標識することが可能である。現在、この誘導体の合成を検討している。
すべて 2005
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