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東南アジアにおける国民国家、民族集団及び宗教の関わりに関する文化人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06041109
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関京都文教大学 (1996)
愛知学院大学 (1994-1995)

研究代表者

綾部 恒雄  京都文教大学, 人間学部, 教授 (30037030)

研究分担者 ソンブーン スクサムラン  チュラロンコーン大学, 政治学部, 教授
レスリー バウゾン  フィリピン大学, 歴史学部, 教授
シャムスル A.B.  マレーシア国民大学, 人類学・社会学部, 教授
レオ スリヤディナタ  シンガポール大学, 政経学部, 教授
寺田 勇文  上智大学, 外国語学部, 教授 (20150550)
佐々木 宏幹  駒沢大学, 文学部, 教授 (30052426)
中島 成久  法政大学, 第一教養部, 教授 (80117184)
荒木 美智雄  筑波大学, 哲学思想学系, 教授 (60103032)
SUKSAMRAN Somboon  Faculty of Political Science, Chulalon Korn University
BAUZON Leslie  Faculty of History, University of the Philippines
SURIYADINATA Leo  Faculty of Politics and Economy, University of Singapore
スクサムラン ソンブーン  チュラロンコーン大学, 政治学部, 教授
バウゾン レスリー  フィリピン大学, 歴史学部, 教授
スリヤディナタ レオ  シンガポール大学, 政経学部, 教授
研究期間 (年度) 1994 – 1996
研究課題ステータス 完了 (1996年度)
配分額 *注記
24,500千円 (直接経費: 24,500千円)
1996年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1995年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
1994年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
キーワード民族集団 / エスニシティ / 国民国家 / 千年王国運動 / 多文化主義 / 慣習法 / 国民化 / 植民地主義 / 国民文化 / エスノヒストリー / シンクレティズム / 植民地 / フォーク・カトリシズム / 周縁性
研究概要

平成8年度の研究実績を、研究対象国毎に箇条書きにまとめる。研究課題は「東南アジアにおける国民国家、民族集団及び宗教の関わりに関する文化人類学的研究」である。
1.タイ国に関しては、綾部恒雄がタイ国を構成する広義のタイ族の中で、いわゆるマイノリティ・タイ族とされている黒タイ族とプ-タイ族の親族関係を、東北地方のサコン・ナコン、ムクダハーン、ウボン地区のプ-タイ族のコミュニティ調査と、中部タイ・ペップリ北部の黒タイ族のコミュニティ調査によって明らかにし、両者の国民化過程のちがいを明らかにしようとした。しかし究極的には黒タイ族とプ-タイ族の源郷である北ベトナムのディエンビエンフ-の調査が必要であるという結論に達した。両者のより詳細なエスノヒストリーが不可欠である。またソンブーン・スクサムランは、タイ国における華人の国民化過程を、北部のピサヌロ-クに住む海南島系華人コミュニティを調査することで明らかにしようとした。前年に行ったチェンマイ地区の華人系ムスリムとの比較を通して、仏教国タイにおける国民化の過程は、同じ華人系であっても、一神教としてのムスリム華人にとって、より困難であることが明らかとなった。
2.インドネシアに関してはレオ・スリヤディナタが、中部ジャワ・ジョクジャカルタ東部のペラナカンと呼ばれる華人社会にみられる儒教復興運動とイスラム国家インドネシアにおける国民化の関係を調査した。一般にペラナカンは、ジャワ文化に完全に土着化した華人を指す言葉であるが、そうしたペラナカンにおいてもなお儒教復興運動がみられることは、いわゆる国民国家の理念の実現がいかに困難なものであるかを実証したことになろう。また中島成久はスマトラ島中南部のミナンカバウ社会の母系制の実態の調査を通して、イスラム的国民国家インドネシアにおける国民化の問題を分析した。特に慣習法的な意味での母系社会が、イスラム法や国家法との関わりで変容していく過程を分析し、慣習法、イスラム教、国家法の三者の視点から国民化の問題を明らかにした。
3.フィリピンでは綾部恒雄がミンダナオ島スリガオ地区とルソン島中部の千年王国運動を調査し、フィリピンに百種以上も活動する千年王国運動の現世否定的思想とフィリピンの国民国家的理念との相違を分析した。フィリピンの場合その8000にも及ぶ島から構成されているという地勢学的状況と400年にわたるキリスト教の支配という事実が、深く千年王国運動に関係していることが明らかにされた。またレスリ-・バウゾンはミンダナオ中西部に住む少数民族マノボ族の民族誌的調査を行い、マノボの伝統文化の国民化の過程を明らかにしているが、フィリピン政府の民族政策が多文化主義的方向へ向かうことを期待するものとなっている。寺田勇文の研究は、フィリピン人口の90%以上がカトリック教徒である中で、異端なキリスト教セクトとして急激に勢力を伸ばしてきたイグレシア・ニ・クリスト教会の国民化過程における役割を明らかにしている。荒木美智雄の行ったマニラ南部ボナハウ山麓にあって盛んな千年王国運動を展開しているシュダ-・ミスティカ信徒国の研究はフィリピンにおけるフォーク・カトリシズムの変形と国民化過程の関係についての貢献である。研究協力者の森正美によるパラワン島南部のマラナオ族、タウスグ族などの民族間関係と慣習法、イスラム法、国家法の三重構造の研究も国民国家の実態を明らかにする上での著しい貢献であろう。
4.マレーシアについては、シャムスル,A.B.が、これまで比較的等閑視されてきたインド系コミュニティの調査を綿密に行い、ブミプトラ政策下に芽生えてきたマレーシアにおける多文化主義的傾向を明らかにした。

報告書

(3件)
  • 1996 研究成果報告書概要
  • 1995 実績報告書
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (33件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (33件)

  • [文献書誌] 綾部恒雄: "フィリピンの千年王国運動-PBMAについて-" 歴史と地理. 495. 15-16 (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Leslie Bauzon: "Manobo Ethnicity and Their Assimilation to the Philippine Nation State" SOJOURN Journal of Social Issues in Southeast Asia. 12.2. (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hiromoto Sasaki: "The Formation of Nation-State and a Folk Religion in Singapore" SOJOURN Journal of Social Issues in Southeast Asia. 12.2. (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takefumi Terada: "Beyond the Nation-State : Overseas Expansion of a Philippine Christian Church,the leglesia Ni Clisto" SOJOURN Journal of Social Issues in Southeast Asia. 13.1. (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shamsul,A.B.: "Religion and Identity in Secula Malaysia : Two Case Studies from the Grassroots" SOJOURN Journal of Social Issues in Southeast Asia. 13.1. (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Leo Suryadinata: "State and Minority Religion in Contemporary Indonesia" SOJOURN Journal of Social Issues in Southeast Asia. 14.2. (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 綾部恒雄(編): "国家のなかの民族 東南アジアのエスニシティ" 明石書店, 321 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] AYABE,Tsuneo(ed.): "Nation State,Ethnicity and Religion in Southeast Asia" Institute of Southeast Asian Studies (未定), (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] AYABE,Tsuneo: "Millinarian Movement in the Philippines" History and Geography. 495 (coming). (1997)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Bauzan, Leslie: "Monobo Ethnicity and Their Assimilation to the Philippine Nation State" SOJOURN. 12 (coming).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] SASAKI,Hiromoto: "The Formation of Nation-State and a Folk Religion in Singapore" 12 (coming). (1997)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TERADA,Takefumi: "Beyond the Nation State : Overseas Expansion of a Philippine Christian Church" SOJOURN. 13 (coming).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shamsul, A.B.: "Religion and Identity in Secular Malaysia : Two Case Studies from the Grassroots" 13 (coming).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] SURYADINATA,Leo: "State and Minority Religion in Contemporary Indonesia" 13 (coming).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] AYABE,Tsuneo (ed): Akashi pub.Co.Ethnic Group in Nation State, 1-321 (1996)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] AYABE,Tsuneo (ed): Institute of Southeast Asian Studies. Nation State, Ethnicity and Religion in Southeast Asia, (1997)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 綾部 恒雄: "タイ国における黒タイ族の"民族"的位相" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 42-69 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] シャムスル A.B.: "東南アジアにおける国民国家の形成とエスニシティーマレーシアの経験より-" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 2-40 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 小野澤 正喜: "東北タイのラオス・ベトナム系カトリック教徒におけるエスニシティ" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 70-97 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] シンブーン・スクサムラン: "民族の存続にむけた戦略-ハート・スィオのプアンにおけるケース・スタディー" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 98-125 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 寺田 勇文: "スルー海域のサマ族-海洋民の「国民化」過程をめぐって-" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 198-232 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 中島 成久: "インドネシアの母系社会における国家とエスニシティーミナンカバウの家族の言説をめぐって-" 国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー. 268-301 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 綾部 恒雄: "国家の中の民族-東南アジアのエスニシティー" 明石書店, 310 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 小野澤 正喜: "アジア読本 タイ" 河出書房新社, 329 (1994)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 寺田勇文・宮本勝: "アジア読本 フィリピン" 河出書房新社, 333 (1994)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 綾部恒雄: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「タイ国における黒タイ族の"民族的"位相」" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 寺田勇文: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「スルー海域のバジャウ族-海洋民の「国家化」過程をめぐって-」" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] ソンブーン・スクサムラン: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「民族の存続にむけた戦略-ハート・スィオのプアンにおけるケース・スタディー" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] シャムスル A.B.: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「東南アジアにおけるエスニシティと国民国家の形成-マレーシアの経験より-」" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 中島成久: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「現代ミナンカバウにおける家族のディスコース」" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 森正美: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ,「フィリピン・マラナオ社会における慣習・国家・イスラーム-法制度と紛争処理を通して-」" (予定), (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 綾部恒雄: "東南アジアにおける国民国家とエスニシティ" 明石書店(予定), 285 (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 寺田勇文・宮本勝: "アジア読本.フィリピン" 河出書房新社, 333 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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