研究課題/領域番号 |
06044127
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
ウオニカイト クルト ハノーファー医科大学, 教授
ピッケルマイヤー ルドル ハノーファー医科大学, 教授
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60263084)
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 講師 (50193628)
田中 明 京都大学, 医学研究科, 講師 (00240820)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20115877)
WONIGEIT Kurt Professor
PICHLMAYR Rudorf Professor
本田 和男 京都大学, 医学部, 講師 (00209321)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
23,600千円 (直接経費: 23,600千円)
1995年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
1994年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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キーワード | 肝移植 / 近赤外線分析 / 肝類洞 / 組織酸素化 / heterogeneity / 拒絶反応 / primary-nonfunction / 近赤外光分析 / 生体部分肝移植 / 脳死肝移植 |
研究概要 |
ハノ-ファー医科大学においては、本科学研究費により派遣した教室員によって、1993年に当科より持ち込んだ近赤外光分析装置を用いて、肝移植再灌流直後の肝類洞系での組織酸素化とそのheterogeneityの回復過程を検索した。primary non-functioningを来した症例ではその両者の回復が極めて悪かった。ABO不適合移植で後に拒絶反応が著明な症例や再移植を要した症例も、その両者の回復の悪い症例があったり、heterogeneityの回復が遅延した症例がみられた。しかし、肝類洞系でのヘモグロビン酸素飽和度のみ単独に悪い症例や、heterogeneityの回復が遅延した症例が必ずしも術後の経過が悪いわけでなく、また、保存時間の長短とも必ずしも相関は得られなかった。 一方、京都大学第二外科で実施中の生体部分肝移植においては保存時間が短い点、グラフト肝のviabilityが高い点と親子間の組織適合性が良好である有利さの為に、移植再灌流直後の肝類洞系での組織酸素化の程度とそのheterogeneityの回復の遅延の程度は手術手技による直接的な影響を反映し、術後の臓器機能の正常化を直接表現し、脳死からの移植の場合のそれの対照となった。 また、この装置を用いてUW液とHTK液の保存性についても検討を行った。生体部分肝移植ではHTK液を用いた方が肝類洞系での組織酸素化、そのheterogeneityの回復ともに、UW液の場合より良好であった。術後の逸脱酵素の上昇もUW液の方が高値で、HTK液の優位性を示唆したが、術後の合併症、生存率にまで反映することはなかった。脳死からの肝移植においては生体部分肝移植の場合より肝摘出前のドナーの状態、摘出操作、保存時間ばどの因子が大きく影響し一定の傾向を得ることは出来なかった。しかし、移植後合併症、生存率に差がないことからHTK液も保存液として評価される。 免疫寛容に関する研究として生体部分肝移植症例のドナーの血液、レシピエント血液(移植後1、3、5、7日、2、4週、3、6ヵ月)及び皮膚(6ヵ月)を採取し、ハノ-ファー医科大学での日常検査に入っているPCR法によるマイクロキメリズムの検討を行った。その結果、ドナー由来のリンパ球は早いもので2週間後、少なくとも3ヵ月以内に消失するが、6ヵ月後には再び出現することが判明した。また皮膚への出現率は50%であった。術後、拒絶反応を示す時期やビールス感染の時期に一旦出現したキメリズムが消失した症例もあったが、マイクロキメリズムの出現と拒絶反応、合併症の出現との間には相関をみることは出来ず今後なお検討を要することが判明した。 1988年から90年にかけてやはり共同研究を開始し展開してきたドナー肝viabilityの評価の為の動脈血中ケトン体比(AKBR)の測定は、1992年試験研究費により作成したポ-タブル血中ケトン体比測定器をハノ-ファー医科大学ドナー肝摘出チームがグラフトを摘出する病院へ持参し測定を行うことを継続してきた。その結果、80症例で45例にのみ充分量のケトン体比の測定が可能で、3例が肉眼的に悪い肝臓で摘出を中止したが全てAKBR値は低値であり評価し得た。他の全例はAKBR値も正常で実際に移植され生着した。これらの結果はAKBRの測定法そのものになお問題を残すものの、AKBRが移植領域で重要なパラメーターとなり得る事を示し、将来、ドナー不足の対策として国際的にグラフトの運搬を考慮するとき有効に利用されると考えられる。 以上、積年の共同実験が着実に成果を挙げており、日独外科合同会議(6月12日〜14日)で更なる討論を予定している。
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