研究課題/領域番号 |
06044187
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
水光 正仁 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00128357)
|
研究分担者 |
LIU Chauーchi ロックフェラー大学, 生化学部, 助教授
LIU Mingーche テキサス大学, ヘルスセンター, 準教授
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 講師 (90232959)
西山 和夫 宮崎大学, 農学部, 助教授 (40164610)
LIU ChauーChi ロックフェラー大学, 生化学部, 助教授
LIU MingーChe テキサス大学, ヘルスセンター, 準教授
貴島 裕治 宮崎大学, 農学部, 助手 (60192556)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1995年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1994年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
|
キーワード | 硫酸化チロシン / 翻訳後修飾 / 硫酸転移酵素 / 組換え蛋白質 / ヒルジン / ゴルジ体 / ミクロソーム / 分泌蛋白質 / Monoclonal Antibody |
研究概要 |
本国際共同研究では翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化の機能解明と遺伝子工学の産物即ちリコンビナント蛋白質の効率良いチロシン硫酸化を目的として研究した。2年目で最終年度の本年度は、チロシン硫酸化の機能解明を中心に行った。特にチロシン硫酸化は蛋白質の分泌のためのシグナルではないかということから、ゴルジ体に見出した硫酸化チロシン蛋白質結合蛋白質(レセプター蛋白質)の諸性質について以下のように研究した。 タンパク質が様々な機能を発現する際、翻訳後修飾と呼ばれる調節機構がある。この一つにチロシンの硫酸化がありフィブリノーゲンなどの分泌性タンパク質に関与している。この硫酸化は、トランスゴルジネットワーク中で3'-ホスホアデノシン 5'-ホスホサルフェートを硫酸供与体としTyrosylprotein sulfotransferase (以下TPSTと略)によって修飾される。すでに我々は、牛肝臓ゴルジ体画分中に硫酸化チロシンに対して結合親和性を示す分子量175Kの膜結合型タンパク質が発見した。これを、硫酸化チロシンタンパク質binding proteinと呼び以下TyrSPBPと略す。我々は、硫酸化チロシンタンパク質の多くが、分泌性タンパク質でありTPSTがトランスゴルジネットワーク中に存在することから、このTyrSPBPもトランスゴルジネットワーク中に存在し、分泌性タンパク質の細胞外輸送の調節に関与しているのではないかと考えた。今回、このTyrSPBPに注目し、結合親和性について検討した。このTyrSPBPは、糖鎖を持つ膜内在性の糖タンパク質であることはすでに報告した。そこで、はじめに、TyrSPBPの精製途中のミクロソーム画分中でトリプシン処理をしTyrSPBPの結合性について検討した。さらに、この糖鎖がその特異的機能を発揮するのに大きな役割をするのではないかと考え可溶化した後、グリコシダーゼで糖鎖を除去し結合性を見た。 本蛋白質の精製は、牛肝臓のTyrSPBPを可溶化した後硫酸化チロシン(TyrS)をリガンドとするアフィニテイークロマトグラフィーにより溶出し、ヒドロキシアパタイトを用い、エレクトロエリューションによって単一化した。今回、抗TyrSPBPモノクローナル抗体は、分子量175KのTyrSPBPを免疫し作製した。 精製過程における溶出画分、ミクロソーム画分をトリプシンで処理し、これらのTyrSとの結合性を検討した。その結果、TyrSPBPは、ミクロソーム画分中の親水性部位にTyrS結合部位を持つことが明らかとなった。 次に、抗TyrSPBPモノクロナル抗体のTyrSPBPに対する活性をELISAで調べた。ELISAを行うに当たり、イムノプレートの固体化抗原としてTyrSPBPを直接固定化させたものと、さらにチロシンが硫酸化されている分泌性タンパク質の牛由来のフィブリノーゲンをまず固定化したあとTyrSPBPを間接的に結合させたものとの2つで行った。その結果、TyrSPBPを直接固定化させたものよりどちらもフィブリノーゲン結合型の方が高い価になった。これは、TyrSPBPをフィブリノーゲンに結合させることによって立体構造が維持され抗体が認識しすくなっていると考えられた。さらに非特異的抗原としてフィブリノーゲン、牛血清アルブミンを用いたところ活性はほとんど見られなかった。次に、ミクロソーム画分をトリプシン処理したものを抗原として用い、同様な方法でアッセイしたところフィブリノーゲンに結合した方が価が高くなった。この理由も前述の様に、立体構造維持が考えられた。 次に、TyrSPBPを種々のグリコシダーゼで処理し、TyrSとの結合性を検討した。エンドHグリコシダーゼ処理による結果、TyrSPBPの結合性が全く見られないことからN型糖鎖が失われると同時にTyrSの結合親和性も失われることが明らかになった。 結論として、TyrSPBPはTyrS蛋白質を認識するのにN型糖鎖を必要とすることが明らかになった。さらに抗TyrSPBPモノクローナル抗体よりTyrSPBPがTyrSPと結合した立体構造を維持した状態の方が結合性は高く、さらにこの抗体は、分子量175kのTyrSPBPだけでなくトリプシン処理した分子量約90K,85KのTyrSPBPにも結合した。さらにこれらモノクローナル抗体の抗原認識部位には糖鎖が関与していることが考えられた。
|