配分額 *注記 |
27,200千円 (直接経費: 27,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 22,800千円 (直接経費: 22,800千円)
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研究概要 |
CV隕石中のさまざまなタイプの暗色包有物(DI)の分析電子顕微鏡(SEM)による詳細な観察・分析を行ってきた。その結果.すべてのDIから水質変成を受けた後,熱による脱水変成を受けたことを示す証拠およびデータを見い出した。いずれのDIもその母岩であるCV隕石が変成してできたものと考えれることから,CV隕石母天体にはかつて水と熱源が存在し,水質変成.熱変成作用が活発に起こったこと示唆している。このことは,CV隕石は原始星雲の集積物であり変成はほとんど受けていないというこれまでの定説を根底から覆えすものであり,炭素質隕石の新たな物質進化説を提出したことになる。 2.ヴィガラノCV3隕石のDIの中に,地球の砂岩堆積層に見られる砂の流動化現象によって形成される組織(皿状構造)と類似のものを発見した。このことは,CV隕石母天体,すなわち初期微惑星において水の流動が起こったこと,またそれによって微粒子の流動化現象をともなう堆積作用があったことを示す最初の有力な証拠と言える。 3.水質変成作用の過程・条件を定量的に知る目的で,熱水合成装置を用いてアエンデ隕石を人工的に変成させる実験を行った。その結果,これまで水質変成を受けたと思われる炭素質隕石に見られるのと同じ様な変成組織を再現することに成功した。実験生成物の詳細な研究によって,水質変成による鉱物の変化や元素移動の詳細が明らかになりつつある。 4.炭素質隕石母天体の衝撃変成作用を解明する目的で,マ-チソンCM隕石およびヤマト791717CO隕石の衝撃回収実験を行い,両隕石の衝撃に対する影響をSEMを用いて詳細に調べた。その結果,コンドリュールの偏平が衝撃で起こることが始めて実験的に確かめられた。また,これまでほとんど知られていなかった20〜40GPaの高い衝撃圧力に対する炭素質隕石の鉱物学的,化学的変化の詳細が明らかになってきた。
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