研究概要 |
砂地盤における薬液注入効果と判定する管理手法を調べるため、内径30cm,高さ30cm鋼製の円筒セル内にケイ砂6号を詰め,瞬結性薬液および緩結性薬液の二種類について,様々な注入条件での固結体の形状と注入圧の変化を調べた。この結果,緩結性薬液においては,すべての条件で浸透注入が行われて固結体形状がほゞ球状になるのに対し,瞬結性薬液では,拘束圧が小さい場合には割裂注入状態となり,固結体の形状が著しく不規則となることが知られた。しかし,瞬結性薬液の場合でも5kg/cm^2以上の高拘束圧においては固結体の形状が球形に近くなり,浸透注入に近い状態の注入効果が得られることが知られた。一方,高拘束圧状態では,固結体の体積は低拘束圧の浸透注入状態における固結体の体積よりかなり減少し,緩結性薬液で約1割,瞬結性薬液で約2割程度改良範囲が縮小することが知られた。これは,実際の地盤深部での注入施工において改良効果の範囲を推定する場合に考慮すべき重要な問題である。 注入時における注入圧の変動を記録したP-tチャートを検討し,割裂注入状態ではP-tチャートの曲線の乱れが著しく,浸透注入ではなだらかな曲線を描くことを見出した。これにより浸透注入条件を保持するためには,P-tチャートによる施工管理が可能であることが判明した。水圧破砕が発生する限界注入圧については,理論的には予測可能であるので本研究の目的である注入効果の判定のための施工基準の推定も可能である。
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