研究概要 |
元素分析計は本来有機物の化学分析を行うための装置であるが,この装置を使用して鉱物試料中の炭素,水素,窒素,硫黄の含有量の測定を行うことを目的とした. 有機物および無機物の標準試薬を分析し,装置の分析精度と正確な値を求める方法を決定した.鉱物の標準試料を用いて,その分解温度と助燃剤の必要性の有無,含有量と分析に必要な試料の量,他の元素の存在の影響の度合などを検討した.その結果を種々の鉱物試料の分析に利用した.その結果を次に示す. 1.今回元素分析計で行った鉱物中の水と炭酸の含有量の測定結果は,既に湿式分析法で測定されているものに良く一致した. 2.スカルン鉱物について含水量を強熱減量や熱分析の結果から求めて報告しているものについて,元素分析計で水素の量を測定し,良く一致する結果あるいはより理論値に近い値が得られた. 3.元素分析計を使用すれば少量の試料で測定できるので,今まで純粋な試料についての分析値が得られていなかった鉱物について含水量の測定を行うことができた. 4.化学組成の正確な分析値の報告されていなかった鉱物について,EPMAと元素分析計を併用することによって化学組成をはっきりさせ,化学式を確立した. 5.混合物について,混在している鉱物の種類によっては,元素分析計での測定によって混合の割合を計算することができ,目的の鉱物の組成を決定できた.
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