研究課題/領域番号 |
06454053
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武内 和彦 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (90112474)
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研究分担者 |
加藤 和弘 東京大学, 農学部・緑地植物実験所, 助教授 (60242161)
井手 任 農林水産省, 農業環境技術研究所・環境管理部, 研究員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ランドスケープ・エコロジー / パッチダイナミクス / 多様性維持機構 / 農村緑地 / 種のフロー / 生物群集 / 動態単位 / 再生複合体 |
研究概要 |
農村緑地の多様性維持機構を解明するため、第一に、植物を対象に人為的管理の停滞による生息適地の減少(生息地の孤立化と均質化)と移動分散の制限による影響を組み込んだ個体群分布の変動モデルを作成した。そして、パッチ型分布の農村緑地の事例としてつくば市周辺農村地域をとりあげ、モデルによる計算結果と現地調査結果を比較した。モデルによる計算結果は、分散能力の低い陽樹的な林床種が、生息地の分布が大規模集中型から小規模分散型へと変化し、しかも人為的な管理が停滞したランドスケープでは、存続できなくなることを示していた。この結果は、現地での植生調査によって明らかにした対象種の分布傾向と概ね一致していた。こうしたモデルをもとに、実際のランドスケープ変化に即して、パッチ型分布の農村緑地における生物群集の変動を予測、評価することが可能である。 第二に、コリド-型分布の農村緑地の事例として帯広市近郊農村地域をとりあげ、孤立したパッチをつなぐ生物の移動経路(コリド-)としての帯状植生の役割を検討した。チョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)とその種子を貯食散布するエゾリス(Sciurus vulgaris or entis) の関係に着目し、帯状樹林におけるチョウセンゴヨウの実生および稚樹の分布を調査解析した結果から、1)エゾリスが帯状樹林林床を種子の貯食場所として利用していること、2)帯状樹林がエゾリスの移動経路として機能する可能性が高いこと、3)それらにより帯状樹林がエゾリスによって散布される植物の分布を拡大する経路としての機能を有していること、4)そうした機能を保障するには、帯状樹林の林床植生の質およびパッチとコリド-の結説部分の環境について配慮が必要なこと、などを明らかにした。
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