研究概要 |
体温リズムが睡眠・覚醒リズムや睡眠構造におよぼす影響の研究は多いが,逆に,睡眠・覚醒リズムの変化が体温リズムにおよぼす影響の研究はきわめて少ない.そこで、睡眠・覚醒リズムを独立変数として操作し、体温リズムがどのように修飾されるかについて検討した. 研究成果報告書は3章からなり、第1章では、4条件の体温リズムの位相で睡眠をとらせた時の,直腸温リズムへの影響について検討した実験結果の体温リズムの位相(下降期,最低温期,上昇期,最高温期)で睡眠をとらせ(それぞれ,00-08時,05-13時,11-19時,16-24時),直腸温と活動量を携帯用データ・ロガーによって連続記録した体温リズムの睡眠期による変化を測定した.各条件とも,日常の睡眠覚醒リズムでの体温リズムの測定,異なる位相で睡眠をとったときの測定,睡眠をとった位相による体温リズムの変化の測定,およびその変化からの回復過程をみるための測定の4期を含んでいる.これらの記録は、運動量・摂食量を統制した拘束条件(constant routine)下で行った. 第2章では、上記の実験において、覚醒時に1時間ごとに負荷した聴覚性ビジランス・テストにおけるパフォーマンス・レベルの結果を4条件で比較した。ここでは、体温の変動とパフォーマンス・レベルとの密接な関連を示した。 第3章では、夜間睡眠の第2睡眠周期と第4睡眠周期に中途覚醒をさせ、睡眠を分断させた場合の体温の変動におよぼす影響を見た.また中途覚醒の長さによってその影響に違いがあるかの検討も行った。その結果,睡眠の中断(中途覚醒)によって体温位相が前進する可能性があること.睡眠の中断の時間的長さによってその効果が異なり、1時間程度が最も効果的であることを明らかにした.
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