研究概要 |
雄和町に分布する西黒沢階権現山層は,下部で砂岩,上部で塊状な石灰質硬質泥岩からなる.砂岩層は、Herringbone structureやHummocky cross stratificationをもち,潮間帯から上部浅海帯程度の水深であったと推定される.その上位の硬質泥岩すべては女川階に対比されてきたが、酸性凝灰岩を頻繁に挟み,単層の厚さが10cm以上の層準までは,石灰質ナンノ化石帯のNN4からNN6帯にまたがり,西黒沢階であることが判明した.したがって、NN4からNN5の間で浅海域であった出羽丘陵にたいし、権現山地域は古環境的には半深海域で、油田系列に属することが判明した。岩城町から亀田町も含め、石灰質ナンノ化石,生痕化石と岩相変化を見ると,西黒沢階の石灰質ナンノ化石は暖海種が卓越する。また、岩相や生痕化石は溶存酸素が多い海底であったことを示す。一方,上位の女川階では,北方および西方に向かい溶存酸素が減少する海底であったことが判明し,これは当時の油田系列玄武岩の分布とも関連する。北方に深い海底地形を反映していたと推定される。 門前層のK-Ar年代測定結果は、門前層中に識別されるステージIからステージIVまでが34Maから31Maにまたがることが判明した。
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