研究概要 |
基礎および実用的見地双方から重要な基本的気体分子や反応性気体分子とゼオライトとの相互作用を主にin-situ赤外分光法を用いて低温から高温まで検討し、触媒反応で果たすゼオライト水酸基の役割、特にその動的挙動を解明することを目的として研究した成果を報文として発表したものを中心にまとめた。 (1)等核二原子分子や希ガスなどの基本的気体分子の吸着 まず、研究代表者による従来からの研究を発展させ、等核二原子分子(N_2,O_2,H_2)や希ガス(He,Ar,Kr,Xe)等の基本的気体分子との相互作用を詳細に検討した。ヘリウムを除くこれらの気体分子はゼオライトの酸性水酸基に水素結合を通して吸着し、このときの赤外バンドの挙動から、ゼオライトの酸点をキャラクタライズできることを明らかにした。 (2)N_2の酸点のプローブ分子としての特徴 特に、N_2が酸点のプローブ分子になることを明らかにし、その性質を詳細に検討した。また、プローブ分子として最近よく用いられているCOとの比較を行った。 (3)反応性気体分子の吸着および反応 さらに、実用的見地から重要な反応性の高い気体分子としてメタノール(MeOH)との相互作用を、室温から200℃付近まで検討した。MeOHをH-ZSM-5に吸着させ200℃まで昇温すると脱水反応を起こし、酸性水酸基上に吸着したジメチルエーテル(DME)種を生成した。この吸着状態は、DME単独の吸着スペクトルとの比較から水素結合状態と結論した。さらに高速赤外分光法により、広い温度範囲にわたって吸着MeOHが吸着DMEに変換していく様子を観測した。また、MeOHと吸着構造が類似している水分子の吸着について検討した。H_2^<18>Oを用いることにより水素結合で吸着していることを直接的な証拠から明らかにした。また、高速赤外分光法により水の動的吸着観測した。
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