1.H-ZSM-5へのジメチルエーテル吸着を低温から高温まで検討した。(1)その結果、従来プロトン化吸着状態のジメチルエーテル種に帰属されていた赤外バンドは、強く水素結合した状態に帰属されることを明らかにした。(2)また、酸性のないシラノール基および酸性水酸基に吸着したジメチルエーテル種の赤外バンドを識別した。この結果をJ.Phys.Chem.に投稿した。 2.窒素分子がゼオライトの融点プローブになることを見いだしたが、本研究の課題の一つとして従来からプローブとして用いられてきた一酸化炭素との直接比較を行ない、その結果をJ.Phys.Chem.誌に発表した。(1)その結果、両者は酸点の存在に対して一致した結果を与え、酸点のプローブとして適切であることを示した。(2)また、吸光係数の相対比を求め、一酸化炭素はブレンステッド酸点に対する感度が非常に高いことおよびルイス酸点に対する感度が相対的に低いことを明らかにした。(3)一方、窒素はルイス酸点に対する感度が相対的に高いことを示した。(4)また、本研究で求めた窒素と一酸化炭素のブレンステッド酸点に対する感度比は、本研究とほぼ同時期に独立に発表されたKnozingerらによるab initio計算の結果とほぼ一致した。 3.希ガス、酸素、水素など基本的無極性気体分子のH型ゼオライトへの吸着を赤外分光法により系統的に検討し、これらの気体分子は酸性水酸基と水素結合を形成し、相互作用の強さからゼオライトの酸性度に関する議論ができることを示した。この結果はJ.Phys.Chem.誌に発表した。 4.^<18>Oの水を用いることにより、従来から盛んに論争されてきたH型ゼオライトへの水吸着で観測される赤外バンドの帰属は、水が酸性水酸基に水素結合で吸着した状態に帰属できることを、初めて直接的に示した。
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