研究概要 |
界面活性剤の微量添加による流動抵抗減少のメカニズムを明らかにするための一つのアプローチとして,平板上層流境界層中に連続的または単一のヘアピン渦を生成し,作動流体が水の場合と界面活性剤水溶液の場合とでヘアピン渦の挙動がどのように異なるかを調べた. 得られた主な結果は以下の通りである. [連続的なヘアピン渦の場合] (1)ヘアピン渦発生周波数は,水の場合と比較して界面活性剤水溶液のほうが小さい. (2)界面活性剤水溶液の流れ出は,ヘアピン渦のキンク並びに2次渦が生じ難い. (3)水の流れでは,下流において流れ方向スロットからの流体噴出による低速ストリークの他にも低速ストリークと2次渦が表れているが,界面活性剤水溶液流れにおいては見られない. (4)ヘアピン渦頭部の局所移動速度の主流速度との比は,界面活性剤水溶液流れのほうが遅い. (5)ヘアピン渦首部の勾配は,水のほうが大き. [単一ヘアピン渦の場合] (1)単一ヘアピン渦を界面活性剤水溶液中層流境界層内で発生させるためには,主流速度が同じであれば,水中の場合より大きい噴出速度かつ小さい噴出体積,すなわち,速く,短い噴出が必要である. (2)界面活性剤水溶液中のヘアピン渦は,せん断速度が増加するとSISにより粘度が急増するため発展しにくい. (3)単一ヘアピン渦は,限られた条件下でのみ発生する.
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