研究概要 |
3種類のβ-ラクタム、3,3-ジメチル-,4,4-ジメチル-,および3-メチル-2-アゼチジノン(1,2,及び3)から得られるポリアミドが、塩化リチウムを含むN,N-ジメチルアセトアミドに溶解することに着目し、これを溶媒に選びこれらのラクタムのアニオン開環重合がリビング重合になる可能性を検討した。まずα位に活性水素をもたない1のアニオン重合を、上記溶媒中、25℃で30分間行った。重合反応はモノマーが完全に消費されるまで終始均一系で進行し、ほぼ定量的に重合体を得た。GPC測定により、得られた重合体がいずれも分子量分布の狭いポリアミドであることを確認した。またモノマーと活性化剤とのモル比を変えることにより、ポリアミドの分子量を自在に制御できた。重合反応がリビング的に進行したと仮定して、消費されたモノマーと活性化剤とのモル比から計算した分子量と、H-NMRスペクトルの中の繰り返し単位と末端基とのピーク強度比から評価した分子量とが数平均分子量5万程度までほぼ一致した。重合終了後反応系にp-ビニルベンジルアミンを添加して、アシルラクタム型成長鎖末端と定量的に反応させることにより、末端にp-ビニルベンジル基をもつポリアミドマクロモノマーを得た。α位に活性水素をもつβ-ラクタム(2および3)も同様の条件でアニオン重合が終始均一系で進行し、ポリアミドが定量的に得られた。しかしその単分散性は1>2>3の順に低下した。上記β-ラクタムのベンゾイル化物および成長鎖末端に相当するアシルラクタムのエンドカルボニル基のベンジルアミンによる加アミン分解を速度論的に調べることにより、3から得られるポリアミドが1および2から得られるポリアミドより単分散性が低いのは、開始反応と成長反応との速度比が小さいことに起因すると推測した。
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