研究概要 |
平成6年度は,システム構築のための基礎実験を行い,ホウレンソウを試料として,3-CCD方式のTVカメラとビデオデッキの組合せと,通常の35mm判のカメラを用いて,試料の真上並びに横方向(45度間隔で8方向から撮影)の画像データを収録した。なお,試料はターンテーブルに乗せて回転させた。解析はカメラで撮影した画像を用い,各写真から葉のX-Y-Z座標の値を決定し,投影図形と実際の葉の寸法で葉の形状に関する値(葉面積,葉の周囲長,直径,葉の長さ,総葉面積,複雑度,占有率等)を求めた。これらのデータのうち,複雑度については日数の経過による変化がほとんど見られなかった。また,葉面積,葉の周囲長,葉の長さについては,今回のデータでは投影図と実寸との誤差は5%程度であったが,もっと大きくなる場合も見受けられた。 平成7年度は前年度の研究方法に加えて,人間が作業中に見る作業物の姿を,人間の目の感覚と同等のデータとして解析することを試みた。即ち,作物の管理作業における人間の姿勢を考えると,斜め上方から対象物を眺め,得たイメージとしての作物の状態から判断していると考えられる。従って,斜め上方からカメラとスライドフィルムを用いて作物を撮影し,それを画像処理することにより,対象株に存在する各葉の大きさ,葉面積,葉の周囲長,株全体の占有面積,株全体の周囲長等の変化を作物生育のデータとして捉えた。対象作物は,兵庫県立中央農業技術センターで栽培中のブロッコリーとレタスを各20株用い,生育を追って約3日毎に撮影した。スライドフィルムからコンピュータへ画像を入力するために,フイルム用のスキャナーを用い,作業を簡略化した。また,コンピュータに取り込んだ画像データは,光磁気ディスクに格納し,いつでも呼び出して比較検討を行うことが可能なように,システムを構築した。
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