研究概要 |
複数の病原菌の複合的感染によって生じるバナナの貯蔵病害は、経済的にも重要で防除法の確立が求められている。とくにcrown rot病は、Lasiodiplodia theobromae,Colletotrichummusae,Thielaviopsis paradoxa,およびFusarium verticillioidesが関与するが、これらを無機塩によって防除する方法を検討した。すると、1リットルあたり4グラムのNa_2CO_3あるいはNa_2CO_3, 5gのNaC10,NaHCO_3あるいはCaCl_2,さらに6グラムのNaClを果樹表面に散布することによって、少なくとも2日間は胞子発芽が抑制された。展着剤を用いた場合は、同濃度でいずれの病原菌の胞子発芽を7日間は抑制した。一方、菌糸の生育は、同濃度、同条件でも十分には抑制しなかった。以上より、バナナ果実に発生するcrown rot病の防除には、1リットルあたり5gのNaClOあるいはNaHCO_3,あるいは5gのCaCl_2を展着剤とともに使用するのが望ましい。無機塩によっては展着剤との混用によって薬害が生じた。また、葉面菌のうち貯蔵病害の抑制効果が認められる複数の菌をおよび細菌を分離し、一部についてはベータチューブリンによる系統解析をおこなった。
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