研究課題/領域番号 |
06J03988
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡原 史明 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 癌抑制遺伝子 / 細胞増殖 / アポトーシス / ストレス応答 / タンパク質分解 / 細胞内局在変化 / 癌抑制遺伝子産物 / 細胞内シグナル伝達 |
研究概要 |
本研究では、PICT-1による癌制御の分子レベルでの理解を深める目的で、PICT-1に対する制御系および新たな機能の探索を試みた。その結果、癌抑制遺伝子産物PTENの安定化因子PICT-1がイノシトールリン脂質を介した細胞増殖シグナルの抑制に関与する因子であり、PICT-1の発現抑制が腫瘍病変を引き起こす悪性形質転換を誘導すること、さらに、ヒト神経芽腫においてPICT-1およびPTENタンパク質の発現量の間に正の相関性があることを明らかにした。これらはPICT-1が腫瘍病変の責任因子の一つとして関与している可能性を示しており、今後の遺伝学的解析などを通じて、PICT-1が新たな癌抑制因子として認識されていくと考えている。また、抗癌剤を含むある種のストレス環境下において、細胞内のPICT-1がダイナミックな局在変化を受け、ユビキチン非依存的なプロテアソーム系の分解を受けること、さらに、この分解をPTENの過剰発現で緩和できることを明らかにした。本研究で示したこれらの結果は、PICT-1の制御メカニズムを紐解く上で重要な知見であるとともに、PICT-1/PTEN両分子が相互に作用し合うことが細胞内の恒常性を維持する上で重要な現象であると考えている。また、PICT-1分解の誘発とそれに伴うPTENの機能損失は、抗癌剤治療がもたらす負の要因を示唆しており、このようなリスクを軽減するためにも抗癌剤治療と併用してPICT-1の分解を抑制することが癌の再発を阻止する上で重要な要素になりうると考えている。今後、抗癌剤が及ぼすPICT-1およびPTENへの影響を明確にすることにより、「癌治療」を巡る種々の問題解決へと展開されていくことを期待したい。
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