研究分担者 |
馬場 大治 甲南大学, 経営学部, 助教授 (90248154)
鳥辺 晋司 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (00155607)
榊原 茂樹 神戸大学, 経営学部, 教授 (10030719)
生駒 道弘 近畿大学, 商経学部, 教授 (10031840)
森 昭夫 金沢学院大学, 経営情報学部, 教授 (30030703)
小嶋 博 名古屋学院大学, 商学部, 教授 (50234761)
後藤 幸男 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (50047445)
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研究概要 |
1.実態調査 構造変革期における我が国企業の財務行動の実態把握を行うため,以下の実態調査を行った。 (1)非金融業の全公開企業,2,800余社を対象にした,質問項目60以上におよぶ網羅的,か大規模なアンケート調査。 (2)合計10余社(製造業の他,銀行,商社,証券取引所も含む)に及ぶインタビュー調査。 2.実態調査の結果と分析 上記の実態調査により,数多くの興味深い知見が得られたが,紙幅の関係で,財務理論に照らして,特に強調すべき結論だけを記すと以下のように要約できる。 (1)資本コストや配当政策といった財務問題に対する我が国企業の経営者の意識は,通説的に主張されている通り,アメリカ流の財務理論の見地からは,理論的に説明のつけようのない極めて独特のものであること。 (2)ただし,かかる一見不合理に見える我が国の状況も,株式の所有構造・保有動機の特殊性や資本市場における制度的な諸状況といった,企業経営や経済状況の日本的な特徴を前提に考えると,合理性を有していたとみなせること。 (3)しかし,株主の意識の変化や経済の市場化といった最近の経済環境の変化は,上述の日本的特徴がなくなり,いわば,アメリカ流の財務理論が想定しているような状況になることを意味しており,こうした「構造変革期」たる今日においては,従来の我が国企業の財務行動や経営者の意識の特殊性は,明らかに不合理な状況になってきている。したがって,実務家は今こそ意識改革が必要であること。
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