研究課題/領域番号 |
07404034
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志田 忠正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60025484)
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研究分担者 |
吉村 一良 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70191640)
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
25,300千円 (直接経費: 25,300千円)
1996年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1995年度: 17,800千円 (直接経費: 17,800千円)
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キーワード | 量子固体 / 固体水素 / 高分解能分光 / レーザー分光 / 赤外分光 / ラマン分光 / 不均一幅 / 凝縮相 / 飽和分光 / 線巾 / ヘテロダイン検出 / 固体パラ水素 / メタン / マトリックス分離法 / 振動回転 |
研究概要 |
凝縮系の分光学では、スペクトルの不均一幅による分光情報の消失が常に問題となる。本研究では、凝縮系のスペクトルの不均一幅を除去してさらに高い分解能の分光を行うため、固体パラ水素マトリックス法を用いた固体における超高分解能分光手法を確立することを目指した。本研究では、まず固体水素内における不均一幅の原因を探るため結晶の生成条件を変えながら水素分子の第1及び第2純振動高調波の遷移を観測した。その結果、線幅の主因はパラ水素中に微量に存在するオルト水素の四重極電場によるシュタルクシフトであることが明らかとなった。一般の凝縮相における不均一幅には様々な要因があり、それを除去するためには飽和分光法などの特別な分光手法を用いる必要がある。一方で、固体水素では線幅の主因がオルト水素によるものと特定できたことから、十分オルト水素濃度を下げた固体パラ水素マトリックスを用いることにより飽和分光法などの特別な分光手法によらなくても固体内相互作用による微細構造を観測できるまでの超高分解能分光ができることが明らかとなった。この結果をふまえ、超高純度パラ水素中に捕捉した分子の分光を行った。その結果、例えば固体パラ水素内に捕捉したメタンの振動回転遷移では、わずかな結晶場によるエネルギー準位の微細分裂を観測することができ、その解析から水素-メタン間の分子間相互作用に関する定量的情報が得られることを示した。また振動の状態によって均一幅が大きく異なる現象が観測され、振動励起状態の緩和に及ぼす分子運動の影響を明らかにした。このように固体パラ水素を用いた超高分解能分光は、凝縮相の新しい分光法として、凝縮系内の多体相互作用や励起状態の緩和過程の解明、あるいは不安定分子などの分光観測に威力を発揮すものと期待され、今後さらに研究を押し進めていく予定である。
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