研究概要 |
本研究の目的は、ネットワークの基礎理論の研究、および地域ネットワークの実地調査である。 1.ネットワークの基礎理論の研究 様々な分野におけるネットワーク論を概観し、「ネットワーク社会学」のヴィジョンを提示した。そこでは、ネットワークの構成要素の類型(personal, community, organization, national)およびネットワークの範囲の類型(personal, community, organization, national, global)によって、ネットワーク分析が体系的に分類されている(研究成果報告書第1章:碓井)。 2.地域ネットワークの実地調査 構成要素=personal、拡がる範囲=personal〜national, globalのネットワークに関して、三つの調査が遂行された。すなわち、(1)輪島市調査(1996年9月)、(2)金沢市・珠洲市・根上町調査(1995年11月)、および(3)文献データベースに関する調査である。輪島調査では、主に「祭りへの参加」と「近隣ネットワーク」との関わり(第2章、溝部・山口)、および「教育アスピレーション」と「親族ネットワーク」との関わり(第3章:山口・溝部)が明らかにされた。金沢・珠洲・根上調査では、ネットワークの質・量が社会的諸属性とどのように関連するかが明らかにされた(第4章:真鍋・橋本)。文献データベースに関する調査では、研究者が、national〜globalな範囲でネットワークを形成する場合に、「文献データベース」が結節点の役割を果たすことが明らかにされた。特に社会学の分野の事例が論じられている(第5章:岩本)。
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