研究課題/領域番号 |
07457143
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
東野 一彌 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30028419)
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研究分担者 |
安室 芳樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (90158733)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1997年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | D-ピペコリン酸 / L-ピペコリン酸 / 肝不全 / 血中アンモニア濃度 / 肝硬変患者 / 肝性脳症 / リシン / GABAリセプターアゴニスト / 高アンモニア血症 |
研究概要 |
ピペコリン酸(PA)はγ-アミノ酪酸(GABA)受容体のアゴニストと言われ、それゆえ肝性脳症の原因物質になることが推察される。申請者はこのPAは肝硬変なかんずく肝不全における血漿中の動態、起源、肝性脳症発生の原因物質として精神神経作用との関連について研究し、以下のことを明らかにした。 1. PAの起源 野菜における定量;各種野菜について定量し、いんげんまめ(43.8mg/kg)、小豆(16.97mg/kg)の他、キャベツ(21.37mg/kg)、又ピーマン(2.55mg/kg)などに多く認めた。 腸内におけるリシンよりの産生;リシン(D体、L体)を健常人に負荷し、本来血漿中に多いL体の他D体の増加も認めた。 2. 肝硬変特に肝性脳症時の血漿中PA 肝硬変で脳症発現患者20例の血漿PA濃度は3.91±1.12nmol/ml(D-体、1.52±0.79nmol/ml)であった。このうち7例にカナマイシンを投与し、腸内細菌を減じたところD-体が有意に減少した(投与前D-体;l.62±0.09nmol/ml、投与後;0.61±0.06nmol/ml)。また健常人15例のPA濃度1.04±0.40nmol/ml、D-体、0.11±0.11nmol/ml、慢性肝炎20例では1.41±0.24nmol/ml(D-体、0.11±0.10nmol/ml)であり、脳症患者群において特にD-体が有意に増加していることがわかった。 3. PAの脳に対する作用 ラットの脳室にPAを投与して、ラットの脳波に対する影響をしらべ、脳波に徐波化がおこることを認めている。GABA受容体アゴニストか否かは検討中である。 以上の結果より血漿ピペコリン酸の一部は食餌に由来するが、多くは腸内細菌によるリシンよりの産生に由来し、肝不全時にはベルオキシゾーム機能低下も関係して増加したピペコリン酸は肝性脳症誘発物質となる可能性が示唆された。 これより今後の肝性脳症発生に対する対策が考えられた。
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