研究課題/領域番号 |
07458199
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
杉浦 康夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50093042)
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研究分担者 |
尾崎 紀之 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40244371)
本多 たかし 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20165608)
外崎 敬和 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50155545)
西山 慶治 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (10106354)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1996年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1995年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | 体性神経 / 内臓神経 / WGA-HRP / 迷走神経 / 脊髄神経 / 胃 / フォス蛋白 / 硬膜 / 侵害受容機構 / 体性感覚 / 内臓感覚 / c-fos / ストレス / 脊髄硬膜 |
研究概要 |
体性神経と内臓神経の比較するため胃に分布する神経と脊髄硬膜に分布する神経の脊髄神経成分と交感または副交感神経成分を解析した。 1.胃に分布する迷走神経節由来の感覚神経と脊髄後根神経節由来の感覚神経を、神経標識物質WGA-HRPまたはDilを注入し比較検討した。胃幽門部WGA-HRP注入により走神経下神経節、T8-12の脊髄神経節が標識された。標識細胞は下神経節に比べ脊髄神経節が大きかった。順行性標識では迷走神経、脊髄神経のいずれの神経終末も胃壁全層に分布していた。迷走神経は幽門線の基部に多く分布していたが、脊髄神経は粘膜固有層を貫いて表面にまで達していた。 2.感覚伝達機構を知るために、胃に刺激を加え、延髄孤束核、脊髄でのFos蛋白の発現を調べた。胃の内腔に酢酸、ホルマリン等を投与したとき脊髄にはFos蛋白は発現しなかったが延髄には多くのfos蛋白が出た。腹腔内に酢酸を投与する延髄と脊髄後角にFos蛋白が発現した。またストレス潰瘍作製後、胃の内腔にホルマリンを投与すると、脊髄にFos蛋白が発現した。このことから後根神経節由来の感覚神経は、延髄とは異なり、胃内腔からの刺激に応じないが、ストレスや胃粘膜病変で応じてくる、いわゆるsilent fiberであることがわかった。 3.体性器官である脊髄硬膜での求心性神経を調べた。下部髄硬膜(L5、6)では神経線維の分布は硬膜の神経根領域から直接はいる終末と硬膜を縦走する線維の二種類から成っている。この縦走する線維は腰椎で顕著であり、この線維は上部腰椎交感神経(L2-3)切除により消失した。この神経が上部腰椎に起始し、交感神経幹を経由し下部腰椎硬膜に分布していることを示している。一方頚髄硬膜では根領域からの神経分布が中心で、交感神経経由で頚椎硬膜に入る線維は少ない。これは頚髄硬膜の感覚入力が主に脊髄神経節経由していると考えられる。 以上から痛覚入力には単に脊髄神経節へ入る感覚入力様式(体性神経性)と、迷走神経、交感神経(内臓神経性)を経由する感覚入力が存在している。またこの二つは痛覚入力に対し相互に大きな影響を与え、部位と器官によっても大きく異なっていることが明らかになった。痛覚の交感、副交感神経との関係は今後に残された課題である。
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