研究概要 |
我々は,生物学における研究素材データの公開・共有を目的として,日本産アリ類と原生生物に関する画像等の様々な学術情報をデータベース化しネットワークで公開する活動を行なっている。本報告書は,これまでの活動の経緯と現状,今後の課題等について紹介している。 「日本産アリ類カラー画像データベース」は日本蟻類研究会のメンバーとの共同制作によるもので,アリ生体標本のカラー写真,種の記載,都道府県ごとの野外分布データ,および,二分岐検索の記述等をデータベース化している。一方,「原生生物情報サーバ」では,日本の原生生物研究者から提供してもらった原生生物の画像や関連のテキスト情報を収集してデータベース化している。 現在までに,アリ類については258種の模式標本の画像(約600枚)と分類学的記載データを,原生生物については,2120枚の画像データと各生物種(約110種)の分類情報をデータベース化し,インターネットで公開している。ファイル数は,両方をあわせると,およそ21,000個になる。総ファイルサイズは,アリが約117Mバイトで,原生生物が約866Mバイトである。利用者の便宜をはかるために7箇所(アリ)および5箇所(原生生物)にミラーサーバを設置した。 アリデータベースは,構築当初から外部の評価が高く,2年ほど前(1994.10),文部省学術情報課でデモンストレーションを行なった。その後,「ユニバ-シティ・ミュージアムの設置について」という学術審議会部会報告の中で学術標本画像データベースのモデルケースとして紹介された。 ネットワーク公開と同時に,各々のCD-ROMを作り一般へ無償配付(アリは一部有料)している。アリCD-ROMは,すでに約1000枚が配布済みで,現在は英語版を制作中である。一方,原生生物CD-ROMは第一版1000枚が配布済みで,データを追加・更新した第二版はこれまでに2900枚を研究者,小中高校教員等へ配布している。
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