研究課題/領域番号 |
07610015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
中国哲学
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山田 利明 東洋大学, 文学部, 助教授 (30104897)
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研究分担者 |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 助教授 (40210588)
川崎 ミチコ 東洋大学, 文学部, 助教授 (30186085)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 道教 / 仏教 / 儒教 / 中国中世 / 信仰 / 宗教 / 中国宗教 / 信仰意識 |
研究概要 |
中国中世の信仰の基盤は、六朝の仏・道信仰にある。この時代に、仏教や道教が中国の伝統的な意識にもとづいて形成した信仰に、現世利益の信仰があり、仏教は懺悔の思想による齋法を用い、道教もまた懺謝による齋法を整えて、現世利益追求の側面を確立した。道教は以後一貫してこの姿勢を保ち続けるが、一方の仏教は、これを輪廻転生・因果応報の思想の中で解釈し、方便としての現世利益を説いた。今日的視点から見れば、こうした中国的信仰意識は、多く偽経(中国撰述経典)によって説かれたもので、そこには現世・来世に跨がる効験が記されている。 この視点から、山田は六朝における宗教的正統性を論じ、知識人階級の信仰の在り方を明らかにし、川崎は中国撰述経典の持つ特異性を明らかにして、仏教の持つ信仰形態を論じた。また、遊佐は現世利益をより庶民的レベルでとりあげ、霊験譚を分析して、その語彙や用語の中に信仰意識の変容をとらえる。総じて、中国中世の信仰は、儒教・仏教・道教の三教融合の意識の中で論じられることが多いが、その基盤は儒家のもつ価値観・倫理観が強く反映されること、そして願望としての現世利益の追及が鮮明に現れることを指摘できる。例えば、仏教や道教が論ずる現世の度脱や死後の救度もみな儒家のもつ倫理観を基準とするもので、宗教的倫理観と道徳的倫理観が一体となり、それを行うことで救済を求めるのである。孝や忠、あるいは信といった儒教的徳目が信仰の中で重視されるのも、こうした理由による。
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