研究課題/領域番号 |
07610022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
乾 仁志 高野山大学, 文学部, 助教授 (30168421)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 金剛界マンダラ / 図像学 / 金剛頂経 / 真実摂経 / 金剛頂タントラ / Vajrasekharamahaguhyayoga-tantra / Vajrasekhara-tantra |
研究概要 |
金剛界マンダラの研究は、従来主として遺品の解明に力点が置かれてきた。そのため基礎資料となる『初会金剛頂経』(『真実摂経』)や『金剛頂タントラ』等の文献に対する研究が十分に進められてこなかった。このことはマンダラの図像解釈に、これらの文献の記述が十分に反映されていないことによっても知られる。 例えば、現図九会マンダラの外金剛部の配置法については従来その典拠が示されず、また降三世会の四隅の四明妃の名称も古来不詳とされてきた。しかし『初会金剛頂経』の降三世品に付加されている教勅マンダラにはこれらに関する記述も見られる。また成身会には四大神が画かれ、賢劫千仏と外金剛部がともにマンダラの外側に画かれているが、この典拠は『金剛頂タントラ』に存在する。さらにマンダラを五部組織に解釈することや、マンダラの内側を五解脱輪とする解釈、および四波羅蜜の女尊化等も『金剛頂タントラ』に典拠が求められる。 金剛界マンダラは、歴史的には7世紀後半に成立した『初会金剛頂経』に初めて説かれ、そして五部組織の成立した『金剛頂タントラ』に受け継がれてさらに展開したのである。現存遺品の大半はこの両経を基礎に成立しているが、これまでの研究では文献資料に対する歴史的視点が欠如していた。そして重要なのは、『初会金剛頂経』以後『金剛頂タントラ』が成立するまでの間に、五秘密尊の展開と四波羅蜜の女尊化への流れがあり、『吉祥最勝本初軌』(『理趣広経』真言分)等が介在するということである。このことは従来指摘されていない。 今後は、註釈および儀軌を考察し、遺品を系統的に分類して、金剛界マンダラの体系的な研究を完成させるとともに、『初会金剛頂経』を中心とするインド中期密教の歴史的な展開過程を解明すべく、密教経典の成立史ならびに密教思想の展開史の研究も同時に進める予定である。
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