健康な男女大学生を対象に、食品のテクスチャーと口腔感覚および嗜好性との関係について調べ、下記のような結果を得た。 1.口腔感覚による食品形態の識別能と食品のテクスチャーの関係を調べた。また、手、視覚による形態識別能と口腔感覚による識別能とを比較した。手による形態識別では硬いアクリルは軟らかいトウフに比べ誤答数が少なく、硬い試料の形態識別能がよかったが、口による試料形態識別では硬さの違いによって誤答数にあまり違いは見られなかった。手の触覚では軟らかい食品よりも硬い食品の方が形態識別能がよいのに対して、口腔感覚では硬い食品と軟らかい食品と同程度の形態識別能があり、口腔感覚は軟らかい食品でも比較的優れた形態識別能を有していることが示唆された。手の触覚に比べて口腔感覚では比較的小さいものの形態識別能がよいことが示唆された。 2.食品の形状や硬さが嗜好に及ぼす影響を調べた結果、嗜好に食品の形状の影響は硬いものほど大きかった。硬いものでも軟らかいものでも、三角柱や星型柱に比べ円柱、直方体、立方体が好まれた。最終嚥下までの咀嚼回数が少ないいわゆる早食いの人と咀嚼回数が多い遅食いの人とでは形状の嗜好性に違いが見られた。 3.食品表面が嗜好性に及ぼす影響を調べた結果、硬いニンジンは平面型、切り込み型の嗜好尺度値が高く好まれているのに対して、中等度の硬さのカマボコでは平面型、波型、山型の嗜好尺度値が高く好まれていた。軟らかいトウフでは平面型のみがその他の型に比べ嗜好尺度値は著しく高く大変好まれていた。食品表面の嗜好はテクスチャーによって異なることが示唆された。
|