研究課題/領域番号 |
07610463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神尾 美津雄 名古屋大学, 文学部, 教授 (50036430)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | consciousness / imagination / perception / the frame of reference / sentiment / the twilight realme / femininity / Femininity / Imago / Sentimental / Uncanny / Perception / Recollection / Mind / Phenomenology |
研究概要 |
「イギリス18-19世紀における人間観」の研究はロック、ヒューム、バ-クリなどの知覚についての認識論を手がかりにして、自意識と外界との関係の枠組みを抽出することから始め次のような知見がえられた。 知覚とは、この場合、原体験についての知覚認知をいう。明らかになったとは18世紀人は原体験を復元しえないことであった。彼らはその原点に復帰すべく記憶表象に依拠するが、原体験の復元が不可能であるために、何を体験したかではなく、いかに体験したかが追求されることになる。18世紀人は存在論的にではなく経験論的におのれの意識のありようを分析し始めることになったのである。そこに現出したのはおのれを改訂しつづける内発的自律性を有した意識であった。 上記の認知の枠組みを想像力と意識の動的な関係に置換して展開したのはコールリッジとワ-ズワスである。彼らにとって想像力と意識の機能は同一であった。しかも意識の種別として、主体であって、しかもおのれ自身をおのれ自身に対して客観的に構成する超主体ともいうべきSUM(自己存在)が想定されることによって、意識は上下に階層化されることになる。人間はこのロマン主義の時代において絶対的な自己存在にむけておのれを投射しつづける変転してやまない自意識の過剰に侵されていくことになる。これはいうなればマスキュリンな意識である。 これに対してフェミニンな意識が登場する。それはゴシック小説におけるヒロインの自意識のありかたがヒントになる。ヒロインは例外なく自己と環境との差異が不分明な状態に置かれる。ヒロインは自分の置かれて状況を他者/性として把握し、その薄明地帯から脱出する方法として母なるイマゴを要求することになる。しかしそれは実現しない。それゆえにフェミニンなる自意識はその帰属証明を求めつづけ彷徨することになる。こうしてロマン主義を境として意識のジェンダ化が始まったのである。
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