研究概要 |
本研究においては,試験片として代表的な剥離渦流れを呈する円柱および三角柱を用いた.円柱については,渦キャビテーション気泡・崩壊挙動の3次元的特徴およびキャビテーション衝撃・壊食機構との関連を明らかにするため,主流方向およびスパン方向観察用試片の2種類を用いた.3角柱については,特に高速流れ用とした試験流路を作成し,衝撃・壊食実験などを含めた研究に用いた. 気泡崩壊様相と気泡衝撃圧,および気泡崩壊様相とキャビテーション壊食痕との同時観察のシステムをトリガーレベルの調整機能を考慮したものを構築し,上述の試験片について実験的研究を行った.その結果,渦キャビテーション気泡崩壊過程に大きく分けて3種類あることをあきらかにした.すなわち,A)壁面よりやや離れた位置において準球状的に収縮崩壊運動を行うもの,B)壁面に付着した形で非球状的に壁面方向へ衝突するように収縮崩壊運動を行うもの,C)渦キャビテーション気泡の細長い形をほぼ保ったまま崩壊運動するもの,である.この形態と壊食効果との関係も検討した.特に,B)に示したタイプに着目して研究を行い,渦キャビテーションは流れ中に比して壁面近傍で特異な挙動を示すこと,壁面に垂直方向の回転軸をもつ渦キャビテーション気泡形態が衝撃・壊食力が特に強いことなどを実験的に明らかにした.キャビテーション衝撃圧測定用センサーを作成・使用するとともにアルミ板などによる壊食との同時計測法をも提示した. 主目的である渦キャビテーション気泡の衝撃発生機構の解明について,崩壊時近傍の高速度ビデオ撮影および崩壊時に発する衝撃力あるいは壊食との同時計測システムを用い実験的に検討した.この種の研究は世界的にも数少なく,貴重なデータと検討結果を提示することができた.
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