研究分担者 |
城山 和久 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (30284201)
田中 裕之 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274086)
弓削 孟文 (弓前 盂文) 広島大学, 医学部, 教授 (40034128)
佐々木 宏 広島大学, 附属病院, 助手 (50235264)
大澤 恭浩 広島大学, 医学部, 助手 (00263682)
金子 高太郎 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70243566)
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研究概要 |
Wistar系ラットの初代培養肝細胞を用いて以下の研究結果を得た。 1.肝細胞低酸素ブドウ糖放出の基本的性質に関する研究 低酸素ブドウ糖放出と乳酸放出:臨床症例における肝虚血と再灌流時の血糖の乳酸値の比較を行い,いずれの場合でもブドウ糖の放出と乳酸の放出が起こることを示唆する結果を得た.一方培養肝細胞における実験ではアドレナリン,フェニレフリン,イソプロテレノールは乳酸の放出を抑えむしろ乳酸を取り込む傾向を示した.またフェニレフリンとイソプロテレノールのブドウ糖放出作用は,低酸素ブドウ糖放出を相加的であることが示された.さらに細胞外のカルシウム濃度をEDTAを加え0mMとすると,低酸素ブドウ糖放出が抑制されることから低酸素ブドウ糖放出は細胞内へのカルシウムの流入に依存していることが示唆された. 2.低酸素による細胞障害に関する研究 低酸素による細胞障害の形態学的変化について検討した.その結果低酸素による肝障害の形態学的特徴として,核の濃縮および核小体の消失が観察された.この変化は培養液中に放出されたLDH濃度と正の相関を示した.また肝培養細胞中のグリコーゲン量が多い場合と少ない場合で,低酸素曝露に対する肝細胞の易障害性を検討したところ,グリコーゲン量の少ない細胞では有意に細胞障害が生じやすいことを示唆する結果を得た. 3.好気的条件下での薬剤のブドウ糖および乳酸放出作用に関する研究 吸入麻酔薬(ハロセン,イソフルレン,セボフルレン)の作用を検討したところ,細胞障害の生じない程度の吸入麻酔薬濃度で,肝細胞から乳酸とブドウ糖の放出が増加することが示された.また循環作動薬ドーパミンは肝細胞に対してβ受容体を介して弱いブドウ糖放出作用を有することが示された.
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