研究概要 |
実験動物としてICRマウスを,歯周病原菌としてA.actinomycetemcomitans (Aa),P.gingivalis (Pg),F.nucleatum (Fn)を用い,マウスの腹腔を局所感染のモデルとして宿主-細菌の反応を熱ショック蛋白(HSP),γ/δT細胞,サイトカイン,マクロファージの活性化の誘導の観点から観察した。また生菌で免疫をしたマウスのマクロファージの活性化を活性酸素と活性窒素産生で検討した。 1.HSPは菌で刺激されない細胞でも観察され,AaとPg投与では同程度であったがFn投与では60および70HSPの増加が認められた。 2.γ/δT細胞の誘導はAa,Pg投与では正常対照の範囲であったがFn投与では5-7日をピークとして誘導が認められた。最高でTリンパ球の27%になった。菌の投与後14日に減少したがCD_8γ/δTの減少の方が著しかった。 3.この間におけるサイトカイン産生を検討した。炎症性サイトカインはいずれの菌においても早期に出現したAa投与ではIL-4の値が高くなる傾向を示し,Fn投与ではIFN-γ,IL-12の上昇が見られた。 4.Fn免疫においてマクロファージの活性酸素,酸化窒素の産生が誘導された。 Aa投与マウスでは抗原-マクロファージα/βT細胞-Tヘルパー2--IL-4-抗体の上昇-多形核白血球による食殺菌の系が動き,Fn投与マウスでは抗原-マクロファージ-HSP増加-γ/δT細胞-IFN-γ,IL-12-マクロファージの活性化の系が動くことを明らかにした。
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