研究概要 |
昨年度は,自治体単位によって実施されている教育政策の導入や実されている政策の程度における格差がどのような要因によって規定されているのかを,少人数教育を事例として,政治的要因と財政的要因に着目して検証した。2年度目である今年度は,昨年度の結果を踏まえて,実施されている教育政策に対して,保護者や教員がどのような認識や評価を行っているのかを検証した。実施されている教育政策が継続されるためには保護者や教員の支持が重要である。特に,選挙での当選が必要不可欠である首長や議員にとっては,保護者や教員が実施されている教育政策を支持している必要があり,保護者や教員の実施されている教育政策に対する支持は教育政策の採用および継続が行われるか否かの重要な要因となる。こうした問題関心を踏まえて,本年度の研究では,品川区を事例として保護者および教員に対して行われたアンケート調査をもとに定量的に検討を行った。また方法論として,マルチレベルモデルについて検討した。このモデルは,本研究のように保護者や教員が学校にネストされたデータ(階層データ)における分析手法として着目されているものである。分析の結果は,日本教育学会第67回大会(「学校選択制下の学校改革に対する教員の認識と評価-品川区教員アンケート調査の計量分析-」)および日本教育行政学会第43回大会(「教育改革に対する保護者意識の実態-2007年度品川区保護者アンケート調査を基に-」)において報告を行った。また,小川正人(編集代表)・品川区教育政策研究会(編)『検証教育改革』の中で,「第I章2教育改革の成果と課題-教員・保護者アンケート調査から-」および「II章5学校選択制の成果と課題-教員・保護者アンケート調査から」を分担執筆した。
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