研究課題/領域番号 |
08101003
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
化学系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 仁美 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50025342)
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研究分担者 |
村嶋 貴之 (村島 貴之) 愛媛大学, 理学部, 助手 (20263923)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
101,000千円 (直接経費: 101,000千円)
1998年度: 18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
1997年度: 35,000千円 (直接経費: 35,000千円)
1996年度: 48,000千円 (直接経費: 48,000千円)
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キーワード | 窒素酸化物 / ニトロ化 / オゾン / ニトロ化合物 / 芳香族化合物 / 反応機構 / 環境汚染 / 発がん性 / 有機合成 / 大気汚染 |
研究概要 |
低級の窒素酸化物がオゾンの共存下で活性化されて、種々の芳香族化合物を低温の条件下で容易にニトロ化することを見い出した。幅広い基質に対する反応の生成物の分析と動力学的研究の結果から、この新しいニトロ化反応は窒素酸化物がオゾンにより酸化されて生じる電子不足の中性ラジカルNO_3を初期活性種とし、基質の酸化電位に依存した二通りの異なる機構で進行することが判った。すなわち、基質の酸化電位が低い場合にはNO_3による一電子酸化で発生したアレーンラジカルカチオンがNO_2で捕捉されてアレーニウムイオンを与える二段階的なラジカルイオン機構が主となるが、基質の酸化電位が高い場合には、NO_3がNO_2に捕捉されてN_2O_5となり、これがイオン開裂してニトロニウムイオンを発生するという古典的なイオン機構が重要となる。この新しいニトロ化反応は硝酸―硫酸の使用を必要としないため大量の廃酸や廃水が生じることがなく、硝酸の原料であるNO_2を直接利用することができるため、省資源、省エネルギーおよび環境対策の面から見て次世代の新技術として期待ができる。 交通量の多い市街地で採集した大気浮遊微粒子から著しく強い発がん性と変異原性を示す3-ニトロベンズアントロンを単離、同定した。母体化合物であるベンズアントロンを無機酸化物粉体上に担持させた模擬大気環境条件下でNO_2に対する挙動を調べた結果、オゾン濃度に比例して3-ニトロ誘導体の顕著な増加が認められ、大気環境ニトロ化における上記の新しいニトロ化機構の関与が確認された。さらに、本研究の展開としてNOとスーパーオキシドの反応で発生するペルオキシナイトライトによる生体関連の活性芳香族化合物のニトロ化およびヒドロキシル化についても併せて検討した。
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