研究課題/領域番号 |
08557014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病体医化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (40167987)
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研究分担者 |
鈴木 宏志 (株)CSK リサーチパーク, 発生工学部, 研究主査
青木 淳賢 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20250219)
井上 圭三 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30072937)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
1998年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1997年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1996年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | ビタミンE / 酸素ストレス / ノックアウトマウス / バーグマングリア / 小脳 / プルキンエ細胞 / バーグマングリア細胞 / 輸送蛋白質 / 基質特異性 |
研究概要 |
ビタミンE(α-トコフェロール)は脂溶性ビタミンのひとつであり、生体内では抗酸化作用を示し、生体成分特に膜成分の酸化を防ぐ働きを持つ。ビタミンEは血液中をリポ蛋白質に結合して輸送される。α-トコフェロール輸送蛋白質(αTTP)は、肝臓内の可溶性蛋白質であり、血中ビタミンEのリサイクリングに非常に重要な役割を果たしている。また、家族性ビタミンE欠乏症の患者ではαTTP遺伝子に変異を持つ。本研究において、ラット肝癌細胞を用いて確かにαTTPが細胞内のビタミンEの放出を促進する機能を持つことを証明した。さらにこの系を用いて、αTTPを介する肝細胞からのビタミンEの放出は通常のリボ蛋白質の放出経路を利用していないことを明らかにした。さらに、ビタミンEの放出はコレステロール代謝を調節する25-hydroxycholesterolによって阻害されることを見い出した。このことは、ビタミンEの放出が肝細胞内のコレステロール輸送系を利用していることを示唆している。現在、α TTPをtoolとして肝細胞内のコレステロール輸送系を解明しようとするプロジェクトが進行中である。我々はまた、αTTPがビタミンEのどの構造を認識しているか、様々なビタミンEアナログはαTTPにどのくらいのアフィニティーを持つか検討した。その結果、ビタミンEのクロマン骨格および側鎖の構造ともに結合に重要であることが分かった。興味深いことに、様々なビタミンEアナログのαTTPに対するアフィニティーと生物活性の間にはきれいな比例関係があった。すなわち、αTTPに対するアフィニティーはビタミンEアナログの生物活性を決定する重要な因子であることが明らかになった。αTTPは肝臓に最も多く発現しているが、わずかな量は脳、脾臓、肺、腎臓などにも発現していることがわかった。そこで、特に脳におけるαTTPの局在をin situ hybridization の方法を用いて調べた。その結果、脳のなかでも小脳のブルキンエ層にあるバーグマングリア細胞に多く発現していることが明らかになった。家族性ビタミンE欠乏症の患者の剖検によると小脳のブルキンエ細胞の欠落が見られる.最近我々は、αTTPのノックアウトマウスを作製することに成功した。ホモマウスでは血中ビタミンE濃度は検出限界以下であり、ヘテロではちょうど正常マウスの半分になっていることがわかった。
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