研究概要 |
少子化,理工系離れが叫ばれる昨今,高専をはじめとする高等教育機関を取り巻く環境は深刻化しつつある.このような背景の中,我々は,理工系離れを解消し,創造性豊かな教育を実践するために,マルチメディア活用の有効性について検討してきた.本研究では,マルチメディア活用の場を本校の正規の授業および卒業研究指導に限定し,教材設計などを通して有効性を検証した.本研究の主な成果は,次の2つである.1つは,能動学習のためのマルチメディア活用である.本研究では,本校の正規の授業料目を一例に取り,従来のような,教師が黒板を用いて学生に知識を数え込む授業ではなく,予め設定された課題について,学生が自発的に調べ,その内容を発表するという形態の授業を行なった.表現ツールを用いた発表や,発表に対する質問・意見を述べる手段として,マルチメディアを有効に活用し,普段は発表が不得意な学生や,質問ができない学生でも,気軽に発表・質問ができる場を提供することができるようになった.また,発表に対する評価では,マルチメディアの活用により,受講者の評価を計算機上で統計処理し,即座に評価分析を行うことも実現できた.これらの成果は,研究発表[3],[4],[5]としてまとめた.もう1つは,卒業研究におけるマルチメディア活用の試みである.遠隔高専間で協同研究を行う場合,電話・ファックス・電子メイルなどのメディアを用いたディスカッションには限界がある.本研究では,遠隔高専間で協同研究を行う場合に,実時間で討論を行うための手投として,マルチメディアをどのように活用すれば有効であるかについて検討し,実際にソフトウェアを開発してきた.これらの研究成果は,研究発表[6]としてまとめた.
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