本研究の成果は研究成果報告書(別冊)にとりまとめておいた通りである。 初年度に実施した現地調査と今年度に実施したビルマ語文献資料の研究によって、本研究の課題である仏教伝道勧告執行委員会の組織の構造、職務内容、委員会の運営方法など現行体制を理解するための基本的事項についてひとまず明らかにすることができたと考えている。 またこのような伝導組織がビルマに誕生するにいたった歴史的背景を植民地時代のイギリスの植民地政策にまでさかのぼって記述した。 また委員会の伝導理念が現地レベルにおいていかに具現化されているのか、その実態についても明らかにした。すなわち委員会によって任命されて少数民族地域に派遣されるビルマ人伝道僧についての実態の解明である。報告書ではチン州(チン族)をとりあげてヴィクトリア山麓のミンダッ市、カンペッレッ町などで伝導するいわゆる山岳仏教伝道僧について報告し、チン州の上座仏教の現況についても明らかにした。また本研究によってこの伝道プログラムには宗教省から給付金を支給されて伝道僧を補佐する在家伝道師が存在すること、タイなどで報告されている開発僧が存在することが判明した。 報告書にあげた情報、統計資料は新しい知見に属するといってよいだろう。
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