研究分担者 |
小林 俊行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (80201490)
北田 均 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40114459)
片岡 清臣 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60107688)
金子 晃 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (30011654)
大島 利雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50011721)
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研究概要 |
時間依存型シュレ-ディンガー方程式の初期値問題の解の性質はその基本解の性質から得られることが多い。このためその性質を調べることは重要である。特に,その特異性あるいは滑らかさの解析は時間依存型シュレ-ディンガー方程式における特異性の伝播の性質を知るためにも重要である。本年度は基本解の滑らかさと有界性の研究を行い次ぎの知見を得た。 ・ポテンシャルVが滑らかな場合,Vがsubquadraticであれば基本解は時間大域的にt=0を除いて滑らかで有界;Vがsuperquadraticであれば基本解が連続微分可能な点は存在しない;Vが二次関数とsubquadraticなものV_1との和であれば,基本解は共鳴時間を除いて滑らかで有界である。さらに,V_1がsublinearであれば共鳴時間において基本解は決して滑らかでない。 ・Vが滑らかでない場合でも,VがCoulomb potentialの様に,測度のFourier変換と特異性が|x|^<-m(m-1)>的なものの和で書ける場合には,基本解は時間大域的にt=0を除いて連続で有界な関数となる。 この結果から,時間依存型シュレ-ディンガー方程式における特異性の伝播は,その全シンボルをHamiltonianとする陪特性帯のエネルギー無限大における極限集合に沿って伝播するとの重要な予想が得られた。実際、上に述べた基本解の特異性のポテンシャルの増大度に関しての急激な変化はこの陪特性帯の性質のそれの反映として説明できる。また,Vが滑らかでない時の結果は時間依存型シュレ-ディンガー方程式における基本解の分散の性質の強度をはかるものと考えることができる。
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