研究概要 |
1. S=1交替ボンド鎖の臨界現象の研究および実験の解析 これはS=1反強磁性鎖では一般にエネルギーギャップがあるが交替して強度が変化する場合はギャップがゼロになる場合があることが予言されていた。これについてはNi(333-tet)(μ-N_3)(ClO_4)がこれに近い物質であることが考えられたので量子モンテカルロ計算や厳密対角化の計算を行い、理化学研究所の萩原氏達との実験結果と比較し、良い一致が得られた。 2. 長距離相互作用のあるスピン系の研究 長距離相互作用のある系は短距離相互作用の系と異なる性質がある。例えば一次元及び二次元の短距離相互作用系に有限温度での相転移はないが、我々は、複数の近似の共通する結果として、長距離の相互作用を持つ系が有限温度で相転移を示したり、相関距離の低温でののびかたが変化する様子を明らかにした。 3. 強磁性ハイゼンベルグ鎖の磁化についてのユニバーサルなスケーリング関数 一次元強磁性ハイゼンベルグ模型の低温での磁化曲線は古典系であろうと、量子系であろうと一定のスケーリング関数に近づくM=M_<0φM>((p_3H)/(T^2),(p_3)/(LT))。ここでp_3はstiffness constant,Hは磁場,Tは温度,Lはシステムの長さ、M_0は飽和磁化である。φM(g,O)=2/3g-(44)/(135)g^3+(752)/(2835)g^5-(465704)/(1913625)g^7+(356656)/(1515591)g^9-(707126486624)/(3016973334375)g^<11>+(1126858624)/(4736221875)g^<13>-(5083735857217648)/(20771861407171875)g^<15>+...を得た。 4. ランダム磁場中のアンダーソン転移の数値解析 3次元ランダム磁場の系におけるアンダーソン転移の臨界指数を転送行列の方法を用いて解析した。これにより、ユニタリークラスにおけるアンダーソン転移の普遍性を数値的に確認するができた。
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