研究概要 |
飛砂運動は掃流砂の運動と似たいわゆる継続サルテーションで砂面での不規則反発による小跳躍の連続が現象を特徴付けている.一方,こうした粒子が流体(風)と相対速度をもって流体内に離散的に散らばって運動している状態が対象となっている.砂面での反発事象には反発の力学に衝突角などの確率性を取り込んだモデルをベースにそれを簡略化したモデルとともに用いた.一方,風の解析では,粒子を相対速度をもって離散的に流体内に存在する物体群とみなし,局所的空間平均化の概念を持ち込んでその効果を空間平均抗力とその抗力がなす仕事分だけの局所空間平均的な乱れエネルギーの生成と散逸の増加を取り込んだ.こうした混相流的扱いによって飛砂の運動特性,飛砂量と風の性質を説明できた. 飛砂による地形変化を議論することになれば,非平衡の問題が避けられないこと,とくに飛砂では海岸汀線の存在によりしばしば非平衡飛砂過程が出現すること,飛砂の非平衡距離はかなり長いことから,非平衡飛砂の問題を扱った.汀線から飛砂層の発達する過程における飛砂密度,飛砂存在高さ分布,移動速度分布や風速分布,レイノルズ応力分布などの流下方向変化が明らかにされた. また,現地観測を行うことを想定して,平面的な水平捕砂器(縦・横長さに違いがない)について,その中をメッシュに切って,各メッシュへの堆積砂の分布から,風向と風の週流方向飛砂量の評価ができないかを検討した.これまで研究した飛砂の運動の知見識を利用して,水平捕砂器の分布からこれらを評価する式を導き,風洞実験により,推定精度の良好なことを確認した. さらに海浜に見られる植生や飛砂防止工の状況を調査し,これにもとづいて設定された状況での,風,飛砂,地形変化仮定について,数値解析と風洞実験の両面からの検討を行い,本研究で行った基礎的知見や手法の適用性を検証した.
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