研究概要 |
EGFレセプターはリン酸化連鎖反応により活性化され,Sp1もリン酸化や糖鎖付加などにより活性化されることが知られており,EGF刺激によるSp1タンパクのリン酸化が予想される.そこで,Sp1タンパクのリン酸化を刺激する脱リン酸化抑制剤であるokadaic acidを用い,GH_4細胞(ラット下垂体腺腫)をEGFおよびokadaic acidで刺激し,gel shift法,immunoblot法によりEGFの核内Sp1タンパクに対する影響を検討し,以下の結果を得た。 1. EGF16時間の刺激によりgERPタンパクの結合に有意な変化を認めなかったが,Splタンパクの結合は有意に減少した. 2. EGF刺激により核内Sp1タンパクレベルの著しい減少を認めた. 3. EGFによるSp1タンパク減少により転写活性が著明に抑制された. 4. Okadaic AcidのみによってもEGF単独の刺激と同様あるいはそれ以上に,Sp1タンパクレベルを減少し,Okadaic AcidとEGFは同時刺激によりSp1タンパクレベルに対して互いに相乗的に作用し,著明に減少した. 以上の結果より,EGFによるSp1タンパクの減少は,EGFレセプターが活性化されセリン/トレオニンタンパクキナーゼを活性化し,Sp1タンパクのリン酸化が誘導された可能性が考えられた.
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